嫡出子と非嫡出子(婚外子)で相続分に違いはありますか?

回答

現在の民法では、嫡出子(婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子)と非嫡出子(婚外子。婚姻関係にない男女の間に生まれた子)の法定相続分に違いはなく、同じ割合です(民法900条4号)。かつては非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定がありましたが、最高裁が違憲と判断したことを受けて平成25年に削除されました。

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それぞれの意味

嫡出子(ちゃくしゅつし)とは、法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子のことをいいます。婚姻中に妻が懐胎した子は夫の子と推定され(民法772条1項)、嫡出子としての身分を取得します。また、養子は養子縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得します(民法809条)。

非嫡出子(ひちゃくしゅつし)とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことをいいます。「婚外子」とも呼ばれます。非嫡出子が父の相続人となるためには、父による認知が必要です(民法779条)。母との親子関係は、原則として分娩の事実により当然に発生します。

嫡出子と非嫡出子の相続分の違い

現行法(平成25年9月5日以降に開始した相続)

平成25年の民法改正により、嫡出子と非嫡出子の法定相続分は同じになりました。子が複数いる場合には、嫡出子であるか非嫡出子であるかを問わず、同順位で均等の相続分を有します(民法900条4号本文)。

改正前の法(平成25年9月4日以前に開始した相続)

改正前の民法900条4号ただし書前段は、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1と定めていました。その立法趣旨は、婚外子の利益を考えて相続権は認めつつも、法律婚を尊重する観点から嫡出子との間に差を設けるというものでした。

比較項目改正前(平成25年9月4日以前に開始した相続)改正後(平成25年9月5日以降に開始した相続)
根拠条文改正前民法900条4号ただし書前段民法900条4号
非嫡出子の相続分嫡出子の2分の1嫡出子と同じ
計算例(子が嫡出子1人・非嫡出子1人の場合)嫡出子:2/3、非嫡出子:1/3各1/2
計算例(配偶者あり、子が嫡出子1人・非嫡出子1人の場合)配偶者:1/2、嫡出子:1/3、非嫡出子:1/6配偶者:1/2、各子:1/4

比較表で特に重要なのは、改正の前後で非嫡出子の取り分が大きく変わる点です。たとえば、被相続人に配偶者がおり、嫡出子1人と非嫡出子1人がいるケースでは、改正前は非嫡出子の相続分が遺産全体の6分の1であったのに対し、改正後は4分の1に増加しています。

改正の経緯と注意点

最高裁の違憲決定(平成25年決定)

最高裁大法廷は平成25年9月4日の決定において、嫡出子と非嫡出子の相続分に差を設けることは、遅くとも平成13年7月当時において、法の下の平等を定める憲法14条1項に反し違憲であると判断しました(最大決平成25年9月4日)。

この決定を受けて、民法900条4号ただし書のうち「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、」という部分が削除され、改正後の規定は平成25年9月5日以降に開始した相続について適用されることになりました(平成25年法律第94号、附則2項)。

相続開始時期による適用関係

改正後の規定が適用されるのは、平成25年9月5日以降に開始した相続です。それ以前に開始した相続については、原則として改正前の規定が適用されます。ただし、平成25年決定は、遅くとも平成13年7月当時には違憲であったと判断しているため、平成13年7月以降に開始した相続で、まだ遺産分割の協議や審判等により確定的な法律関係になっていないものについては、事実上の拘束力により改正前の規定の適用が排除される可能性があります。

したがって、先代以前の相続を放置したまま時が経過し、新たな相続による承継を契機に遺産分割が現実化する事案では、いつの時点で相続が開始されたかに注意する必要があります。

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