不動産の「持分」(もちぶん)とは、共有者がその不動産に対して有する権利の割合のことです。持分割合は、相続による共有なら法定相続分(民法898条2項)、共同購入なら出資割合で決まるのが原則で、割合が明らかでないときは各共有者の持分は等しいものと推定されます(民法250条)。
持分の意味と趣旨
「持分」とは、1つの不動産を複数人で共有しているとき、各共有者がその不動産について有する権利の割合をいいます。「共有持分」と呼ばれることもあります。
たとえば、AとBの2人が土地を共有していて、Aの持分が3分の2、Bの持分が3分の1であるとします。これは、Aが土地に対して3分の2の権利を、Bが3分の1の権利を持つという意味です。
持分はあくまで権利の割合であって、不動産の物理的な範囲を指すものではありません。Aの持分が3分の2だからといって、土地の3分の2の区画がAの所有地になるわけではなく、各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。
持分は、共有不動産の使用・収益から費用負担、意思決定、分割まで、共有に関するあらゆる場面で基準として働きます。民法が持分という概念を置いているのは、1つの物を複数人で所有する場合の権利関係を明確にし、共有者間の利害を調整するためです。
持分割合の決まり方
持分は等しいものと推定される
民法250条は、「各共有者の持分は、相等しいものと推定する」と定めています。持分割合を示す資料がない場合、共有者全員が等しい割合で持分を持つものとして扱われます。2人の共有であれば各2分の1、3人の共有であれば各3分の1です。
もっとも、これは推定にすぎません。実際の持分割合が異なることを示す証拠があれば、その証拠に基づく割合が優先されます。実際の持分割合は、共有が生じた原因に応じて、主に次のように定まります。
相続による共有の場合
被相続人の不動産を複数の相続人が相続した場合、遺産分割がされるまでの間、各相続人は法定相続分(遺言による相続分の指定があるときは指定相続分)に応じた持分で不動産を共有します(民法898条2項)。
たとえば、父が所有していた土地を母と子2人の計3人が相続した場合、法定相続分は母が2分の1、子がそれぞれ4分の1ですから、持分割合もこのとおりになります。その後、遺産分割協議で異なる割合を合意すれば、その合意した割合によります。
購入による共有の場合
夫婦で住宅を購入する場合など、複数人で不動産を取得するケースでは、各自の出資割合が持分割合となるのが原則です。たとえば、5,000万円のマンションを夫が3,000万円、妻が2,000万円を負担して購入すれば、持分割合は夫が5分の3、妻が5分の2です。
なお、出資割合と異なる割合で持分の登記をした場合、その差額に相当する部分について贈与があったものとして、贈与税の課税対象となることがあります。
合意による場合
共有者間の合意によって持分割合を定めることもできます。この場合は、合意の内容を示す契約書などが持分割合の証拠になります。
持分に応じた権利と義務
持分割合は、共有不動産に関する次のような場面で基準になります。
使用する権利
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。共有者の1人が共有不動産を使用する場合、別段の合意があるときを除き、他の共有者に対して自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負います(民法249条2項)。
収益の分配
共有不動産から生じる賃料などの収益は、各共有者がその持分に応じて取得します。たとえば、AとBが持分2分の1ずつで共有するマンションを月額20万円で賃貸した場合、AとBはそれぞれ10万円ずつ受け取る権利を持ちます。
費用の負担
各共有者は、その持分に応じて管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います(民法253条1項)。固定資産税や修繕費などの経費は、持分割合に応じて分担するのが原則です。
意思決定への影響
共有不動産の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決します(民法252条1項)。頭数の多数決ではなく、持分割合をベースにした多数決です。持分が2分の1を超える共有者がいれば、その共有者の判断だけで管理に関する事項を決められます。
持分の処分と共有物全体の処分
各共有者は、自己の持分を単独で処分(売却・贈与・担保設定など)できます。持分の処分に、他の共有者の同意は必要ありません。
これに対し、共有不動産の全体を売却するには、全共有者がそれぞれの持分を手放すことになるため、共有者全員の同意が必要です。また、建物の建替えのように、共有物の形状または効用を著しく変更する行為も、共有者全員の同意がなければできません(民法251条1項)。形状・効用の著しい変更を伴わない軽微な変更であれば、持分の価格の過半数で決定できます(民法252条1項)。

