被相続人のマンションの共有持分を買い取った不動産業者と交渉し、共有持分をさらに買い取ることにより住居を維持できた事例

ご相談の内容

亡夫とマンションを共有していましたが、遺言により、亡夫の共有持分は娘が相続しました。私はそのマンションに住んでいますので、娘から共有持分を買い取ろうとしましたが、高い金額を提示されました。娘は感情的になるタイプで、私に売るなら不動産業者に売ると言っていて、困っています。もっと低い価格で買い取る交渉をしてもらえないでしょうか。

当事務所の対応と結果

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まず、複数社から訪問査定をしてもらい、比較検討したところ、娘が提示している金額は、適正価格よりも高い金額であることが分かりました。しかし、娘に対しては、遺留分を請求しようと思っていたため、遺留分との関係では、高い評価額になった方が有利でした。そこで、娘が不動産業者に売るというのであれば売ってもらい、交渉相手を不動産業者にすることで、共有持分の買取りと遺留分を切り離す方針にしました。

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娘がマンションの持分を不動産業者に売却した後、不動産業者から共有物分割を持ち掛けられ、そこから代理人としての活動を正式に開始しました。不動産業者が提示した金額は、娘が提示した金額よりは低くなっていましたが、それでも、当初は、まだ適正価格よりも高い金額でした。

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不動産業者とやり取りを重ねるうち、専門的な話ができない担当者であることが分かりましたので、裁判であれば難しい主張も取り入れて反論しました。また、不動産業者が交渉を急いでいたため、逆に急がず、相手を焦らしながら、時間をかけて交渉しました。

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その結果、不動産業者も、早い段階で、適正価格より低い金額での買取りで同意しました。無事、マンションの共有持分を買い取り、住居を維持することができました。

解決のポイント

感情的になる娘との交渉を避け、あえて不動産業者との交渉を選択したことが功を奏しました。不動産業者が欲しいのはお金ですので、娘よりも合理的な話し合いができると考えました。また、娘には遺留分を請求する予定でしたので、娘の手から共有持分の買取り問題を切り離させ、二つの請求が錯綜することを回避できました。