寝たきりの妻に代わり、夫を成年後見人につけた上で、調停で合理的な遺留分を支払わせた事例

ご相談の内容

妻の父が亡くなりましたが、公正証書遺言を残しており、妻が相続するものはありませんでした。遺留分を請求したいと考えていますが、妻は寝たきりで意思表示ができない状態です。どのように遺留分を請求したらいいのでしょうか。

当事務所の対応と結果

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本人である妻には判断能力がないため、まず家庭裁判所に後見開始の申立てをしました。妻は資産もほとんどなかったため、相談者の夫を成年後見人の候補者とし、裁判所も夫を成年後見人に選任しました。

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相手方に対し、正式に遺留分の請求をしましたが、使途不明金について納得できる回答がなされなかったため、調停を申し立てることになりました。

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使途不明金について、調停ではある程度の回答はなされましたが、事実関係は不明なままでした。しかし、こちらの不当利得の証明をするのは難しく、交渉材料に留めるのが相当でした。

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合理的な落とし所を探るという方針を成年後見の担当裁判官に説明の上、調停を成立させました。

解決のポイント

本人に判断能力がない場合、遺留分請求の前に成年後見人をつける必要があります。もっとも、専門職後見人がつくと、遺留分以上の負担が発生する可能性がありました。そのため、夫を成年後見人にするのが相当である理由を合理的に説明し、予定どおり夫を成年後見人にすることができました。

また、被成年後見人が遺留分を請求する場合、本人の利益を保護する必要があり、安易な妥協はできません。調停を申し立てるとともに、成年後見の担当裁判官にも適宜状況を説明し、合理的な落とし所を探りました。

成年後見事案の特殊性に配慮しつつ、依頼者の利益になる方針決定をしたことが解決のポイントとなりました。