手書きで遺言書を作るメリットとデメリットは?自分でできる簡単で正しい書き方も解説

遺言書は相続手続きをスムーズに進めるとても有効な手段ですが、手書きの遺言書だと不安に思う方もおられます。しかし、公正証書遺言は、公証役場で作成しますので、気軽に作れるものではありません。それぞれのメリットとデメリットを正しく理解し、自分に合った方式を選択する必要があります。
とはいえ、近年の制度改正により、ほとんどの人は手書きの遺言書で十分になりました。この記事を最後まで読めば、手書きの遺言書で十分な理由が分かり、自分で簡単に遺言書を作成できるようになるでしょう。

目次

遺言書はどのようなときに作成する?

遺言書を作成しなかった場合、各相続人の相続分は法定相続分で分けるのが「原則」です。
相続人全員の同意があれば「原則」を変えることができますが、相続人のうち一人でも同意しなければ、「原則」どおりに相続分が決まります。

しかし、遺言書を作成しておけば、亡くなった方の生前の意思が尊重され、法定相続分とは異なる相続分に変えられます

遺言書を作成するケースとしてよくあるのは、以下のような場合です。

  1. 同居している相続人に自宅不動産を残したい。
  2. 会社の後継者に株式を引き継がせたい。
  3. 相続人以外の人にも財産をあげたい(息子の嫁、孫、世話になった人など)。
  4. 遺産の分け方を決めておき、相続が止まるのを回避したい。
  5. 自分の想いを相続人に伝え、無用な相続争いを回避したい。

①同居している相続人に自宅不動産を残したい

亡くなった方と同居していた相続人は、そのまま親の自宅に住み続けたいと考えるのが通常です。
しかし、遺言書を作成せずに亡くなると、親の自宅も遺産分割の対象となり、他の相続人と遺産分割協議をする必要があります。

他に遺産があれば、それを他の相続人に相続させればいいので、すんなり自宅を相続できるかもしれません。
しかし、主な遺産が自宅のみであれば、それを同居していた相続人が相続すると、相続分が偏ってしまいます。
他の相続人がそのような遺産分割に同意するとは限りません。

多少のお金(代償金)を払って解決できればいいのですが、支払えないないほど多額の代償金が必要な場合もあります。
そのような場合、自宅を売却し、売却金を分けるしか方法がなくなります。

しかし、遺言書さえ作成しておけば、法定相続分とは異なる遺産の分け方にできます。
同居していた相続人に自宅を相続させればよく、遺産分割協議の必要がなくなります。

もちろん、最低限の取り分として認められている遺留分の問題はあります。
しかし、遺留分については、請求してきた相続人にだけお金を支払えば足りますし、金額も法定相続分よりは少なくて済みます(通常、法定相続分の2分の1)。
同居していた相続人に自宅を残したいと考えているのであれば、遺言書の作成は必須です。

なお、主な遺産が自宅だけの場合、相続税の支払いをどうするかという別の問題は起こります。
一定の現金や死亡保険を残しておくなど、別途考えておく必要があります。

②会社の後継者に同族会社の株式を引き継がせたい

亡くなった方が会社の経営者の場合、自分の会社(同族会社)の株式を所有していることが多いです。
しかし、遺言書を作成せずに亡くなると、同族株式も遺産分割の対象となり、他の親族と遺産分割協議をする必要があります。

遺産分割が成立するまでは、他の相続人と同族株式を共有しますので、いわば宙に浮いた状態になります。
遺産共有している同族株式を行使するには、「権利行使者」を決めなければなりません(会社法106条)。
しかし、他の相続人と話がまとまらなければ、株主総会で権利行使できず、会社経営に支障が生じかねません。

しかし、遺言書さえ作成しておけば、他の相続人と遺産分割協議をするまでもなく、後継者に株式を引き継がせることができますので、遺産分割協議が整理するまでの空白期間を避けることができます。

遺留分が問題になることは自宅と同様ですが、会社の経営状況が悪ければ、株式の評価額は低く、すべて後継者に相続させても問題になりにくいです。
遺留分は現金で支払えばよくなった平成30年の相続法改正以降は、特にそうです。

もし株式の評価額が高い場合は、同族株式の評価額を下げる方策をしたり、生前贈与をしたりしておく必要があります(相続税対策としても)。
遺言書のみならず、それ以外の生前の相続対策も重要になります。

③相続人以外の人にも遺産をあげたい(息子の妻、内縁など)

相続人となる人は法律で決まっていますので、遺言書を作成せずに亡くなると、法律で決まっている相続人だけで遺産を分け合うことになります。

しかし、ほとんど交流がなかった親族や代襲相続人が相続人になったりする一方で、世話になった相続人以外の人(息子の妻、内縁など)は何も相続できない事態になります。

平成30年の相続法改正では、相続人以外の親族も、相続人に対して、貢献した分を特別寄与料で請求できるようになりました。
しかし、特別の貢献や親族であることなどの要件がありますし、権利行使に期間制限もあります。

このような場合に遺言書を作成しておけば、世話になった相続人以外の人に対しても遺産をあげることができます。
自分が考える貢献分を遺産の分け方に反映できますし、お金だけでなく、不動産など特定の財産をあげることもできます。

遺留分の問題はやはり生じますが、遺言書を作成しておかないと、自分の意思を相続に反映させるのは困難です。

④遺産の分け方を決めておき、相続が止まるのを回避したい

遺言書を作成せずに亡くなると、遺産分割協議で遺産の分け方を決める必要がありますので、意見の違いなどでもめる場合があります。
特に、裏付けのない話に関して一切譲らなかったり、遺産分割とは関係ない過去の遺恨があったりすると、柔軟で合理的な落としどころを見いだせなくなり、相続が止まってしまいます。
相続が止まれば、遺産の管理や経費負担が続きますので、相続争いによる精神的な負担のみならず、金銭的な負担も大きくなります。

このような場合に遺言書を作成しておけば、遺産の分け方を話し合う必要はなくなります。
あとは、遺留分を請求したきた場合の金銭的な問題だけで済みます。
仮に遺留分の金額でなかなか折り合いが付かなかったとしても、相続が止まり、遺産が塩漬けになってしまうという事態は避けられます。

⑤自分の想いを相続人に伝えたい

遺言書を作成せずに亡くなると、亡くなった方の生前の意思や意向が分からないため、相続人同士の利害ばかりが先鋭化しがちです。

このような場合に遺言書を作成しておけば、「付言事項」という形で、遺言書を作成した経緯、分け方の理由、自分の想いなどを残しておくことができます。
それにより、相続人同士の無用な疑心暗鬼をなくしたり、解決の指針や拠り所にしたりすることができます。

「付言事項」に法的な効果があるわけではありませんが、感情面で無用な相続争いを避けるための手段として有効です。

手書きで遺言書を作成するメリット

それでは、遺言書を手書き(自筆)で作成しても大丈夫なのでしょうか。
公正証書で作成しないと不安という方もおられるかもしれません。

しかし、結論から言えば、ほとんどの人は手書きの遺言書で十分です。
法的な効果は、公正証書遺言と変わりません。

もちろん、お金と時間がある人は、公正証書遺言の方が確実です。
しかし、手書きには手書きのメリットがありますし、適切に対応すれば、デメリットの多くは解消できます。

まず、手書きで遺言書を作成するメリットをお話しします。

メリット①:時間をかけずに作成できる

手書きで遺言書を作成するメリットの1つ目は、時間をかけずに作成できることです。

公正証書遺言は、公証役場に行けばすぐに遺言書を作成できるわけではありません。
概ね以下のような手続きが必要です。

  1. 公証役場に問い合わせ、遺言書の作成について相談する。
  2. 遺産の裏付け資料を提出し、作成手数料を算定してもらう。
  3. 遺言内容の希望を伝え、公証人が文案を作成する。
  4. 公正証書遺言を作成する日時を予約する。
  5. 公証役場に行き、公正証書遺言を作成する。

実際のケースで、司法書士が公正証書遺言の文案を作成したものの、公証役場に相談を入れる直前で亡くなってしまった方がおられます。
文案のとおりに公正証書遺言を作成できていれば、遺留分の支払いを考えるだけでよかったのですが、間に合わなかったため、遺産分割協議が必要になりました。
そして、極めて仲の悪い相続人がいたため、遺産分割協議は全く進まず、多額の相続税をどのように支払ったらいいのかという問題が生じました。

簡単な内容でも手書きで遺言書を作成しておけば、このようなことにはならなかったはずです。
時間をかけずに作成できるというメリットは、普段はあまり意識せず、盲点になりがちです。
場面によっては、相続の流れを決める重要なポイントになります。

メリット②:費用をかけずに作成できる

手書きで遺言書を作成するメリットの2つ目は、費用をかけずに作成できることです。
紙とペンがあれば作成できますので、費用は全くかかりません。

公正証書遺言の場合、公証人が作成しますので、それなりの作成手数料がかかります。
公証人手数料令という政令で決められており、遺言の対象となる財産の価額がベースになります。
詳細は日本公証人連合会のホームページに記載されていますので、ご参考ください。

Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?

メリット③:遺言内容の書き換えがしやすい

手書きで遺言書を作成するメリットの3つ目は、遺言内容の書き換えがしやすいことです。

遺言書は、一度作成しても、それを撤回し、別の遺言書に書き換えることができます。
実際のケースでも、遺言書を作った途端、態度が横柄になった相続人がおり、翻意して遺言書を作成し直したということがあります。

公正証書遺言ですと、作成するのに手間も費用もかかりますので、簡単に書き換えるわけにもいきません。
逆に、手書きの遺言書ですと、手間も費用もかからず、いつでも書き換えることができます。
状況に応じて柔軟に対応できるのは、場面によってはとても役に立ちます。

手書きで遺言書を作成するデメリットと解消法

デメリット①:原則として、すべて手書きで書かなければならない

手書きで遺言書を作成するデメリットの1つ目は、原則として、すべて手書きで書かなければならないことです。

手書きの遺言書は、法律上、全文、日付及び氏名を「自書(自分で書くこと)」しなければなりません(民法968条1項)。

(自筆証書遺言)

第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない

 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

誰かに代書してもらうことはできませんので、病気や怪我などでうまく筆記できない方だと、手書きの遺言書を作成するのは物理的に難しいかもしれません。
物理的に筆記が難しい場合は、公正証書遺言にすることをお勧めします。

しかし、物理的に筆記ができるのであれば、あとは手間の問題です。
パソコンで下書きをし、それを書き写せば、誤字脱字もなくすことができます。

また、後述しますが、平成30年の相続法改正により、財産目録(財産のリスト)については自書が不要になりましたし、通帳や不動産登記簿などの資料を添付することも可能になりました(民法968条2項)。

「自書」というデメリットは、法改正により、かなり解消されたといえます。

デメリット②:形式を間違えて無効になる可能性がある

手書きで遺言書を作成するデメリットの2つ目は、形式を間違えて無効になる可能性があることです。

手書きの遺言書は、自書や押印など、法律で一定の形式が定められています(民法968条)。
形式を間違えると、正式な遺言書にはなりませんので、無効になってしまいます。

しかし、遺言の形式要件は基本的なものばかりで、ポイントだけ知っていれば、無効になることはそうそうありません。
実際、遺言の形式を間違えてしまったケースとして、エンディングノートが遺言書になると誤解していた場合、妻に書いてもらった場合、署名・押印をしなかった場合などがありましたが、いずれも「超基本」を誤解していたにすぎません。

なお、不動産や分け方の特定が不十分で、そのままでは登記できない場合もありますが、それでも遺言が無効になるわけではありません。

形式要件と書き方のポイントさえ押さえれば、手書きでも問題なく遺言書を作成できます。

デメリット③:都合の悪い相続人が捨てたり隠したりする可能性がある

手書きで遺言書を作成するデメリットの3つ目は、都合の悪い相続人が捨てたり隠したりする可能性があることです。

手書きの遺言書は、自宅などで保管していた場合、都合の悪い相続人が先に発見し、捨てたり隠したりする可能性があります。

そのようなことをすれば、法律上、相続権がなくなりますが(民法891条5号)、実際のところ、遺言書の破棄・隠匿を証明するのは困難です。
実際、遺言書の破棄・隠匿が疑われるケースがありましたが、証明の手段がなく、「知らない」ということで終わってしまいました。

これに対し、公正証書遺言は、公証役場で原本が保管されていますので、破棄・隠匿のおそれはありません。
従前は、遺言書の保管という点で、公正証書遺言には大きなメリットがありました。

しかし、現在は、手書きの遺言書も、法務局による「遺言書保管制度」があります。
法務局で遺言書を保管しますので、公正証書遺言と同様、破棄・隠匿のおそれはありません。

破棄・隠匿のおそれというデメリットは、「遺言書保管制度」により解消されました。

デメリット④:家庭裁判所で「検認」しないと遺言を実行できない

手書きで遺言書を作成するデメリットの4つ目は、家庭裁判所で「検認」しないと遺言を実行できないことです。

手書きの遺言書は、家庭裁判所で「検認」をする必要があり(民法1004条1項)、それまでは預金の解約や不動産の名義変更といった相続手続きができません。

これに対し、公正証書遺言であれば、検認は不要です(民法1004条2項)。
従前は、検認が不要という点でも、公正証書遺言には大きなメリットがありました。

しかし、前述した法務局による「遺言書保管制度」を利用すれば、手書きの遺言書でも検認は不要になりました(法務局における遺言書の保管等に関する法律11条)。

(遺言書の検認の適用除外)
第十一条 民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。

家庭裁判所での検認が必要というデメリットも、「遺言書保管制度」により解消されました。

デメリット⑤:判断能力を疑われ、もめる可能性がある

手書きで遺言書を作成するデメリットの5つ目は、判断能力を疑われ、もめる可能性があることです。

手書きの遺言書は、中立的な第三者を関与させずに作成できますので、他の相続人から判断能力を疑われ、もめる可能性があります。

これに対し、公正証書遺言であれば、中立的な公証人が遺言者の意思を確認して作成しますので、他の相続人が判断能力を疑ったとしても、無効にするのは困難です。
そのため、遺言者の判断能力が減退している場合は、公正証書遺言の方が安心といえます。

とはいえ、公正証書遺言でも無効訴訟を起こされるときはありますし、無効判決が出るときもありますので、基本的には、判断能力があったかどうかという証明の問題になります。

たとえば、遺言書以外にも手紙などで意思表示をしておく、ビデオや録音などで本人の意思である証拠を残しておく、認知症の検査を受け、作成当時、判断能力があったという証拠を残しておくなど、デメリットを解消する方法はあります。おすすめはビデオ撮影で、裁判における有力な証拠になりますし、公正証書遺言以上に、容易には無効訴訟を起こせなくなります。

ほとんどの人は手書きの遺言書で十分

手書きの遺言書のメリットデメリットを比較すると、ほとんどの人は手書きの遺言書で十分です。
手書きの遺言書を法務局に預けておけば、制度的なデメリットの多くは解消されます。

ただ、遺言者の判断能力が減退しているような場合は、もめ事が起こるリスクを減らすため、公正証書遺言の方が安全かもしれません。

自分でできる遺言書の簡単で正しい書き方

それでは、手書きの遺言書はどのように作成したらいいのでしょうか。

前述のとおり、遺言書は形式を間違えると無効になりますので、形式要件には注意が必要です。
法律で定められている遺言書の形式要件は、以下のとおりです(民法968条)。

  1. 「遺言書の全文」を手書きで書くこと
    ただし、財産目録(財産のリスト)は手書きでなくても可
  2. 「日付」を手書きで書くこと
  3. 「氏名」を手書きで書くこと
  4. 「押印」をすること

以下、それぞれのポイントを解説します。

①遺言書の全文

「遺言書の全文」については、紙の種類や筆記用具は決まりがありません。
ただ、鉛筆など消すことができるものは避け、ペンやボールペンで書いた方がいいでしょう。

以前は財産の内容もすべて手書きで書く必要がありましたが、平成30年の相続法改正により、財産目録(財産のリスト)は自書が不要になりました(民法968条2項)。
一つ一つの遺産を手書きで書く必要はなく、パソコンで作成した財産目録を添付したり、通帳や不動産登記簿などの資料を添付することができます。
ただし、遺言書と一体化させるため、毎ページに署名・押印が必要です。

本文については、誰に何をあげるのかについて、しっかり特定する必要があります。

たとえば、あげる人については、同姓同名があり得ますので、身分関係(長男、長女など)、生年月日、住所などで特定した方がいいです。

あげる遺産については、通帳の写しや不動産登記簿の写しを添付して特定するといいでしょう。
ただし、ある程度まとめて相続させる場合は、そこまで厳密に考えなくても大丈夫です。

たとえば、特定の相続人に預金のすべてを相続させるのであれば、「○○(人名)に、私の預金のすべてを相続させる。」だけで大丈夫です。
金融機関や口座番号を逐一書かなくても、遺言としては有効です。
もらう相続人に預金口座の存在を知らせてさえおけば、相続手続きも支障なくできます。

特定の相続人に遺産のすべてを相続させるのであれば、もっと話が早いです。
「○○(人名)に、私の遺産のすべてを相続させる。」という1行だけで、遺言書の本文は完成です。

ちまたにある遺言書のひな形を見ると、いかにも難しいことが書いてありますが、そこまで厳密に考える必要はありません。

②日付

「日付」については、「●●吉日」など特定できない日だと無効になります。
令和●年●月●日などのように、いつ書いたのか特定できるようにしましょう。

③氏名

「氏名」については、特定できるのであれば通称でも構わないのですが、様々な手続のことを考えますと、戸籍上の氏名にしておくのが無難です。

また、一つの遺言に一人だけしかできず、連名で作成することはできません(民法975条)。
ご夫婦で遺言書を作成する場合は、必ず別々に作成しましょう。

(共同遺言の禁止)
第九百七十五条 遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。

④押印

「押印」については、拇印や認印でも構いません。
しかし、印鑑照合ができますので、実印の方が好ましいです。

実印の場合、仮に偽造を争われても、本人の印章による押印であることを証明しやすくなりますので、裁判がかなり楽になります。

加除訂正も形式が決まっているため、なるべく書き直すようにする

加除訂正のやり方も法律上決まっており、形式に従って修正する必要があります。

  1. 加除訂正した場所に押印をし、
  2. 加除訂正する文字を書き、
  3. どこをどのように加除訂正したのか余白などに書き、
  4. その場所に署名

します。

具体的には、「〇行目〇文字削除〇文字追加」などと記入し、加除訂正個所を特定します。

もっとも、形式が厳格に決まっていますし、加除訂正は無用な疑念を引き起こします。
下書きをしっかりし、間違えてしまったら書き直した方が安全でしょう。

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