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「遺言検索システム」があるって本当?遺言書を探す方法を弁護士が解説

「被相続人から遺言書の話は聞いていたが、自宅にはなかった。他にどこを探せばいいのか分からない・・・」
「他の相続人が遺言書を見せてくれないので困っている。でも、他に手段があるのか分からない・・・」

今、あなたもこのように悩んでいませんか?
遺言書の調査方法について同じような悩みを抱え、当事務所にご相談される方が多くおられますので、その気持ちはよく分かります。

そんな悩みを抱えるあなたに、この記事では以下の内容をご紹介します。

・手書きの遺言書はどこをどのように探せばいいか。
・公証役場の「遺言検索システム」とは何か。
・公正証書遺言の正本や謄本を取得する方法

この記事を読み終わった頃には、手書きの遺言書や公正証書遺言の調査方法が分かり、相続を円滑に進めることができるでしょう。

目次

遺産分割協議をする前に、まず遺言書を探す必要がある

相続が開始すると、相続人全員で遺産の分け方を決める必要があります。
これを遺産分割といいます。

しかし、遺言書で分け方が決まっている遺産については、原則として、遺言書に書いてあるとおりに遺産を分けます。

例外的に、相続人全員の合意があれば、遺言書と異なる分け方にすることは可能です。
しかし、遺言書の存在を知らずに行った遺産分割協議は、あとで無効になる可能性があります。

そのため、相続が開始したら、遺産分割協議を行う前に、何よりもまず遺言書を探し、遺産の分け方がすでに決まっているかどうかを確認する必要があります。

それでは、遺言書の有無はどうやって調べたらいいのでしょうか。

遺言は法律の方式に従って作成しなければならず(民法960条)、法律上、いくつかの方式があります。
しかし、実務上は、自筆証書遺言(手書きの遺言書)と公正証書遺言がほとんどです。
以下、この2つの方式についてのみお話しします。

手書きの遺言書の探し方

自筆証書遺言は、端的に言えば、被相続人(亡くなった人)が手書きで書いた遺言書です(民法968条)。

後述する法務局での保管を除き、保管場所や保管方法は法律で定められていません。
そのため、手書きの遺言書については、被相続人が保管していた可能性が高い場所に当たりをつけて探すことになります。

手書きの遺言書の保管場所として考えられるのは、以下のとおりです。

被相続人の自宅

手書きの遺言書の保管場所は、自宅であることが多いです。
自宅にあるタンスや机の引出し、仏壇、金庫、本棚などを探す必要があります。

「遺言書」と書いた封筒に入っていることが多いですが、封筒に入れることは法律上の要件ではありません。
便箋などの紙に書いてあるだけの場合もありますので、自宅にある紙類を丹念に確認する必要があります。

また、被相続人が書いていた日記やノートに、遺言書のことが記載されている場合もあります。
遺言書がなかなか見つからない場合には、日記やノートも確認した方がいいかもしれません。

そもそも、形式的な要件さえ満たしていれば、日記やノート自体が遺言書になります。
そういう意味でも、日記やノートまで確認することをお勧めします。

被相続人が経営していた会社

被相続人が会社の経営者であれば、会社に遺言書が保管されている場合があります。
オフィスにある金庫、デスク、キャビネットの中などを探す必要があります。

銀行の貸金庫

被相続人が銀行の貸金庫を借りていたのであれば、貸金庫に手書きの遺言書が保管されている場合があります。

被相続人の通帳に取引銀行から1万円前後の引落しが年1~2回ある場合、貸金庫利用料の引落しである可能性があります。
まずは、取引銀行で貸金庫を借りていたかどうかを確認しましょう。

銀行の貸金庫には、現金、不動産の権利証、貴金属なども保管されている可能性がありますので、遺産の調査でも確認が必要なところです。

なお、相続開始後に銀行の貸金庫を開けるためには、通常、相続人全員で手続を行うか、相続人の代表者が他の相続人全員から同意書をもらって手続を行う必要があります。

親族間の対立により、相続人全員の同意が得られない場合には、公証人の立会いと「事実実験公正証書」の作成により、一部の相続人からの開扉請求に応じる金融機関も多いようです。

また、家庭裁判所を使って貸金庫契約を遺産分割(一部分割)し、契約上の地位を取得した相続人が貸金庫を開扉するということも行われます。

いずれにせよ、被相続人が銀行の貸金庫を借りていた場合、遺言書の保管場所として有力ですので、早めに確認する必要があります。

親しい友人や専門家

親しい友人や専門家に遺言書を預けていることも考えられます。
上記の場所を探しても見つからない場合は、一応、確認しておいた方がいいでしょう。

法務局(遺言書保管所)

2020年7月10日から、法務局で手書きの遺言書を保管する制度がスタートしました(法務局における遺言書の保管等に関する法律)。
手書きの遺言書の有無を調査するときは、自宅や貸金庫のみならず、法務局にも確認が必要になります。

なお、保管事実の証明書や遺言内容の証明書は、どこの法務局(遺言書保管所)でも交付の請求ができます。

公正証書遺言の探し方

公正証書遺言は、遺言者が公証人に口授して作成した遺言です(民法969条)。

公正証書遺言を作成すると、公証人から正本や謄本を渡されますので、被相続人の自宅等で見つかる場合は多いです。

しかし、公正証書遺言を作成した公証役場には、原本が保管されています。
仮に正本や謄本を紛失してしまった場合でも、公証役場で再発行してもらえます。

新しい遺言書に書き換えている場合もありますので、自宅や貸金庫で公正証書遺言を発見しても、念のため、公証役場でその他の遺言があるか確認することをお勧めします。

公正証書遺言の検索システム

では、公正証書遺言は、どのように調査すればいいのでしょうか。

実は、公証役場には公正証書遺言の検索システムがあり、公正証書遺言の有無を確認することができます。
具体的な検索方法は、以下のとおりです。

  1. 検索する公証役場
    どこの公証役場でも検索可能
  2. 検索できる人
    相続人
    相続人以外の利害関係者(受遺者、遺言執行者など)
  3. 検索の費用
    無料
  4. 必要書類(相続人)
    *念のため、検索をする公証役場にも事前に確認をお願いします。
    ①遺言者の除籍謄本(死亡の記載があるもの)
    ②本人(相続人)の戸籍謄本(遺言者との相続関係が分かるもの)
    ③本人(相続人)の身分証明書(運転免許証等)、認印

窓口で必要書類の確認をしたりしますので、検索結果を知るのに20〜30分かかります。
さっと結果が分かるわけではありませんので、ある程度時間の余裕をもって来所することをおすすめします。

除籍謄本・戸籍謄本は他の手続でも使う可能性がありますので、原本還付の希望を伝えておいた方がいいでしょう。

なお、誤解する方もおられますが、相続人が遺言検索システムを利用できるのは、遺言者が亡くなった後です。
遺言者が亡くなる前は遺言者本人しか利用できませんので、ご注意ください。

公正証書遺言の取得方法

遺言検索システムは全国どこの公証役場でも利用可能ですが、原本の閲覧や正本・謄本の請求は、遺言書を作成した公証役場(原本を保管している公証役場)で行います。

必要書類は、遺言公正証書の検索の場合と同じです。

2019年4月1日から、公正証書の製本や謄本の請求及び受領を郵送でもできるようになりました。

ただし、郵送請求の場合、交付請求書の認証などの手続が必要です。
遺言検索システムで公正証書遺言がヒットしたら、公証役場の担当者に郵送請求の手続と費用も確認するといいでしょう。

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