できます。共有物分割では、共有者全員の共有関係を解消する必要はなく、一部の共有者だけが共有から抜け、残りの共有者の共有関係をそのまま残す方法も認められています。この方法を「一部分割」といいます。5人の共有を、抜けたい2人の単独所有部分と、残る3人の共有部分とに分けることも可能です。
結論
共有物分割は、本来、共有関係を解消するための制度です。分割が完了すれば共有は残らないのが原則で、民法258条にも一部分割を直接定めた規定はありません。
それでも判例は、共有者が多数にのぼる場合に、分割を求める共有者の持分の限度で現物を分割し、残りを他の共有者の共有として残す方法を認めてきました。共有状態の全部ではなく一部だけの解消にとどめるため、一部分割と呼ばれます。質問のケースでは、抜けたい2人の持分に相当する部分を切り分けて2人に取得させ、残る土地を3人の共有のまま維持する、という分割になります。
ただし、裁判所がこの方法を選ぶには、共有関係を残す側の3人が共有の維持を望んでいることなど、後述の事情が必要です。
根拠と条件
一部分割を認めた判例
最高裁は、共有者が多数である場合には、分割請求者の持分の限度で現物を分割し、その余を他の共有者の共有として残すことも許されると判断しています(最判昭和62年4月22日)。
令和3年改正前の判例ですが、一部分割は現物分割(不動産を物理的に分けて単独所有にする方法。民法258条2項1号)の一態様と位置づけられており、現行法のもとでも同じように用いられています。
裁判所が一部分割を選ぶ条件
裁判所が一部分割を選択できるのは、次の事情がそろうケースです。
- 共有関係を残す側の共有者が、共有物全体の取得を希望していない(または、他の共有者の持分に相当する代金を支払う資力がない)
- 共有関係を残す側の共有者どうしの関係が良好で、今後も共同で利用していける
共有者が多いまま全員分に細分化すると、一つひとつの土地が小さくなりすぎて使い勝手が悪くなる場合があります。上の事情がそろうときは、抜けたい共有者との関係だけを解消するほうが、公平で妥当な結果につながります。
一部分割の判決では、共有を残す部分について、新たな共有者と共有持分割合が主文に明記されます。
一部分割の3つの方式
| 方式 | 共有から抜ける側 | 共有関係が残る側 |
|---|---|---|
| 脱退方式 | 分割を請求した側(原告) | 相手方(被告)のグループ |
| 除名方式 | 相手方(被告) | 分割を請求した側(原告)のグループ |
| 分裂方式 | ——(双方とも一部が残る) | 原告・被告の両グループ |
脱退方式は、分割を請求した共有者だけが共有関係から離脱する方式です。冒頭の判例(最判昭和62年4月22日)が認めたのはこの形です。
除名方式は、その逆に、相手方だけを共有関係から外し、請求した側の共有関係を残す方式です。持分を譲り受けて新たに共有者となった者を、もとからの共有者が共有関係から外したい場面が典型です。最高裁は、分割請求をする原告が多数である場合に、被告の持分の限度で現物を分割し、その余を原告らの共有として残す方法も許されると判断しています(最判平成4年1月24日)。
分裂方式は、両者を組み合わせたもので、原告側・被告側それぞれの共有関係を残したまま、もとの共有を2つのグループに分ける方式です。
具体的な場面での適用
設例1(脱退方式)
A・B・C・D・Eの5人が土地を共有していて、A・Bが共有から抜けたいと考えているケースです。C・D・Eは今後も共有のまま土地を使い続けたいと望んでいて、3人の関係は良好ですが、A・Bの持分を買い取る資力はありません。この場合、土地をAの単独所有地、Bの単独所有地、C・D・E共有地の3筆に分ける現物分割が考えられます。5人分に細分化せずに済み、C・D・Eの希望どおり共有も維持されます。
設例2(除名方式)
A・B・Cの3人で不動産を共有していたところ、Cが自分の持分を第三者Dに譲渡したケースです。A・Bとしては、もとの共有者どうしで不動産を使い続けるため、Dとの共有関係だけを解消したいと考えています。この場合、不動産をA・Bの共有部分とDの単独所有部分とに現物分割する方法が考えられます。
いずれの設例でも、現物分割の一態様である以上、土地を物理的に分けられること(分けても価値を大きく損なわないこと)が前提です。

