「法律どおりの相続」にするにはどうしたらいい?弁護士が3つのポイントを解説!

「他の相続人が依頼した税理士から遺産分割協議書が届いたが、これが法律どおりのやり方なのか分からない・・・」
「他の相続人が遺産分割協議書にサインするように急かすが、何か隠しているような気がする・・・」

今、あなたもこのように悩んでいませんか?
「法律どおりの相続」について同じような悩みを抱え、当事務所にご相談される方が多くおられますので、その気持ちはよく分かります。

そんな悩みを抱えるあなたに、この記事では以下の内容をご紹介します。

  • 相続税申告はあくまでも相続手続きの問題であり、税理士が提案する遺産分割案が唯一の選択肢ではない。
  • 税理士が作った遺産目録が相続のすべてではなく、亡くなる前の財産処分も遺産分割や遺留分請求に関係してくる。
  • 「法定相続分」は法律どおりの分け方ではないので、誤解しないように。

実際、よく分からないまま遺産分割協議書にサインするのは止め、相続の原則論に則って進めることで、法律どおりの相続を実現できた方も多くおられます。

この記事を読み終わった頃には、相続の基本的な考え方や注意すべきことが分かり、より公平で納得できる相続を実現できることでしょう。

目次

ポイント1:相続は、手続きではなく「中身」が主役

1つ目のポイントは、

相続は、手続きではなく「中身」が主役

です。

相続は、大きく分けると

①遺産の分け方という「中身」の問題
②相続登記や相続税申告などの「手続き」の問題

の2つがあります。

相続は手続が多くて大変です。
目の前の手続を進めるだけで手一杯になってしまうでしょう。
しかし、預金や株式の名義変更も、相続税の申告も、相続登記も、本来、遺産の分け方が決まってから、決まった分け方に従って行います。
つまり、相続の主役は、あくまでも遺産の分け方という「中身」です。

そんなこと分かっているよと思われるかもしれません。
しかし、手続上の都合を最優先し、遺産の分け方を決めようとする人がとても多いです。

たとえば、相続税が減ることを最優先し、税金を中心に不動産の分け方を決めようとする相続人がいます。
しかし、相続全体の相続税は減ったとしても、そこから多くの利益を受けるのは他の相続人(特に不動産を取得する人)で、自分の相続税はそこまで変わらないかもしれません。
そもそも、相続税を最優先すると、自分の相続分が一方的に減り、本末転倒になる場合もあります。

また、相続税の申告期限に間に合わないという理由で、とにかく遺産分割協議書にサインするよう迫られることがあります。
これは、本当によくあります。
しかし、遺産の分け方という中身に納得していないのに、相続税の申告期限という手続きを優先し、遺産分割協議書にサインをするのは本末転倒です。
相続税は、とりあえず未分割のまま申告し、遺産分割が正式に決まったら、あとで修正すればいいだけの話です。

もう一度言います。

相続は、手続きではなく「中身」が主役

です。

遺産の分け方という「中身」を決め、その決まった分け方に従って手続きを行うのが本来の相続の順序です。
手続きの都合を最優先し、納得できない分け方にするのは本末転倒です。

手続きの期限を逆手に取り、自分にとって都合のいい遺産分割協議書にサインさせようとする「ずるい相続人」もいます。
相続を法律どおりにやりたいのであれば、遺産の分け方という「中身」が主役であるという原則論を強く意識するようにしましょう。

ポイント2:亡くなった時の遺産だけが相続の対象になるのではない

2つ目のポイントは、

亡くなった時の遺産だけが相続の対象になるのではない

です。

相続の対象となるのは、亡くなったときに残っていた遺産です。
そのため、遺産分割でも遺留分でも、亡くなったときに残っていた遺産だけしか見ない人が多いです。

しかし、たとえば、亡くなる数か月前に、多額の預金が引き出されていたらどうでしょうか?不動産が処分されていたらどうでしょうか?

引き出された預金や不動産の売却金が何に使われたのか分かっているのであれば、特に問題はありません。
問題は、そのお金がどこに行ったのか分からない場合です。

他の相続人が遺産を使い込んだのであれば、その相続人に使い込んだお金を戻してもらう必要があります。
遺産を使い込んだのではなく、亡くなった人から贈与を受けたのだとしても、遺産分割であれば、贈与を受けた相続人の取得額は減りますし(特別受益の持ち戻し)、遺留分請求であれば、贈与の分も遺留分の計算において加算されます。

亡くなったときの遺産だけしか見ず、亡くなる前の預金の引出しや不動産の売却に気が付かなければ、せっかく法律が用意している制度を活用できず、法律どおりの相続は実現できません。

もう一度言います。

亡くなった時の遺産だけが相続の対象になるのではない

です。

税理士から提供される財産目録や添付資料は、あくまでも相続税申告という手続きに必要なものにすぎません。
通帳や口座の取引明細書で「過去の出入金」を調べないと、亡くなる前の財産処分を見落としてしまいます。
そこまでやって初めて、法律どおりの相続を実現できるわけです。

ポイント3:「法定相続分」は法律どおりの分け方ではない

3つ目のポイントは、

「法定相続分」は法律どおりの分け方ではない

です。

○分の1で分けるのが法律ですよと言われるときがあります。
しかし、ちょっと待ってください。
それは本当に法律どおりの分け方でしょうか?

結論から言えば、半分合っていて、半分間違っています。

相続は、○分の1という「法定相続分」で分けるのが原則です。
そう、「原則」。
特殊な事情がある場合、「法定相続分」で分けると、逆に、法律どおりの分け方にはなりません。

特殊な事情まで反映させた相続分を「具体的相続分」といいます。
法律どおりの分け方というのは、「法定相続分」ではなく、「具体的相続分」で分けることをいいます。

たとえば、亡くなった親に対する介護などの貢献は、いわゆる「寄与分」として、「法定相続分」を修正する特殊な事情となります。
つまり、介護によって遺産の維持・増加に貢献した分、相続分が増えます。

亡くなった親からもらった生前贈与も、いわゆる「特別受益」として、「法定相続分」を修正する特殊な事情となります。
つまり、先に生前贈与でもらった分、相続においては相続分が減ります。

もう一度言います。

「法定相続分」は法律どおりの分け方ではない

です。

寄与分や特別受益を考慮せず、○分の1という割合(法定相続分)で機械的に相続分を決めてしまう方が不公平です。
特殊な事情を相続分に反映させて初めて、法律どおりの相続(具体的相続分)を実現できるわけです。

口で言うと分かりにくいかもしれませんので、以下、具体例でご説明します。

具体例

相続人は子2人、遺産は1000万円の預金のみ、子Aが500万円の生前贈与をもらっており、子Bが500万円の介護貢献をしていたケース

  1. 単純に法定相続分で分けた場合
    • 子A=1000万円×1/2(法定相続分)=500万円
    • 子B=1000万円×1/2(法定相続分)=500万円
  2. 具体的相続分で分けた場合
    • 子A={(1000万円+500万円-500万円)×1/2}-500万円=0円
    • 子B={(1000万円+500万円-500万円)×1/2}+500万円=1000万円

つまり、法定相続分で単純に分けた場合、子Aの相続分は、具体的相続分よりも500万円多くなります。他方、子Bの相続分は、具体的相続分よりも500万円少なくなります。

寄与分や特別受益を相続分に反映させて初めて、公平な相続を実現できることが分かります。

相続の正しい理解が大事

この3つのポイントを知っておくだけでも、よく分からないまま遺産分割協議書にサインし、後で後悔することを避けられます。
しかも、相続の基本に関することで、そこまで難しいわけではありません。

それでも、もし法律どおりの相続かどうか悩むことがあれば、遠慮なくご相談ください。
東京相続弁護士法人は、相続問題の解決に特化し、「最高の相続専門店」を目指している弁護士事務所です。
よりよい解決法が見つかるよう、お手伝いさせていただきます。

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