ゆうちょ銀行の現存調査はどのようにしたらいいですか?

回答

被相続人のゆうちょ銀行の口座は、貯金窓口に「貯金等照会書」を提出する「現存調査(貯金の有無の調査)」によって、全国の口座の有無を一括で調べられます。調査自体は無料で、記号番号が分からなくても調査でき、結果は貯金事務センターから後日郵送されます(ゆうちょ銀行「現存調査(貯金の有無の調査)」)。取得した結果で確認すべき主な項目は、(1)貯金の種類(通常貯金・定額/定期貯金・国債・投資信託等)、(2)記号番号、(3)相続開始日時点の残高、(4)死亡前後の入出金です。

目次

現存調査(貯金照会)の概要

ゆうちょ銀行の「現存調査(貯金の有無の調査)」とは、被相続人名義で開設されている口座の有無をゆうちょ銀行側で調査し、結果を後日郵送する手続です。被相続人がどの店舗・どの郵便局で口座を作ったかが分からなくても、全国のゆうちょ口座を一括で調べられる点が大きな特徴です。

民間の銀行では、原則として支店(店舗)ごとに口座の有無を照会する必要がありますが、ゆうちょ銀行(旧郵便貯金)は一回の現存調査で全国の口座を網羅的に調査できます。高齢の被相続人がゆうちょ口座を持っているケースは多く、相続財産の調査において出発点になりやすい手続です。

この調査では、口座の有無に加え、貯金の種類(通常貯金・定額貯金・定期貯金・積立貯金・国債・振替口座など)や記号番号を確認できます。判明した口座については、別途、残高証明書や入出金照会(取引履歴)を取得して内容を確認していきます。

なお、預入れ・名義変更等の取扱いそのものは、ゆうちょ銀行の貯金等に関する規定(貯金等規定一覧)に基づいて行われます。

申請主体・申請先・必要書類

項目内容
申請できる人相続人(代理人が申請する場合は委任状が必要)
申請先全国のゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口
提出書類貯金等照会書(窓口で用意。ゆうちょ銀行のホームページからも入手可能)
添付書類①被相続人の死亡の事実が分かる戸籍謄本等 ②相続人であることが確認できる戸籍謄本等 ③相続人の本人確認書類(運転免許証等) ④相続人の印章
手数料現存調査は無料。判明した口座の残高証明書は1通につき1,100円、入出金照会(取引履歴)は通帳1冊に係る回答につき1,100円(いずれも税込)

戸籍謄本等については、法務局で取得した「法定相続情報一覧図の写し」があれば、戸籍一式の代わりになります。先に一覧図を整えておくと、窓口での手続がスムーズになります。

申請の流れ

  1. 必要書類を準備する。
    被相続人の死亡が分かる戸籍謄本等、相続人であることが分かる戸籍謄本等、相続人の本人確認書類、印章を用意します。法定相続情報一覧図の写しがある場合は戸籍の代わりに利用できます。
  2. 貯金窓口で貯金等照会書を提出する。
    全国のゆうちょ銀行または郵便局の貯金窓口で「貯金等照会書」に記入し、必要書類を添えて提出します。
  3. 調査結果を受け取る。
    調査は貯金事務センターで行われ、結果は後日、郵送で届きます。

費用は、現存調査自体は無料です。残高証明書は1通につき1,100円、入出金照会(取引履歴)は通帳1冊につき1,100円です(いずれも税込)。所要期間は窓口や調査内容によって異なります(※最新の目安は窓口で要確認)。

このほか、ゆうちょ銀行には、相続手続に必要な書類をウェブ上で案内する「相続Web案内サービス」や、「相続確認表」の入力・提出をスマートフォンで行える「ゆうちょ手続きアプリ」が用意されています。相続手続の一環として手続を進める場合は、「相続確認表」を提出する際に、記号番号が分からない貯金について「貯金等照会書」を併せて提出する流れになります。

なお、民営化前(2007年9月30日以前)に預け入れた郵便貯金についても、窓口で申し出れば調査の対象になります。

取得した書類で確認すべき項目

貯金の種類

ゆうちょ銀行の貯金には、通常貯金のほか、定額貯金・定期貯金・積立貯金・国債・振替口座・投資信託など複数の種類があります。現存調査の結果では、どの種類の貯金が現存しているかを確認します。通常貯金だけに目が向きがちですが、定額貯金や投資信託・国債が別に存在することは珍しくありません。残高証明書は貯金の種類が異なるとそれぞれ手数料がかかるため、種類を取りこぼさず把握することが、遺産の網羅的な把握につながります。

記号番号

ゆうちょ銀行の口座を特定する番号です。判明した記号番号は、その後に残高証明書や入出金照会(取引履歴)を請求するために必要になります。複数の記号番号が判明した場合は、それぞれが別個の口座ですので、漏れなく控えておきます。

相続開始日時点の残高

残高証明書は、証明年月日を指定して取得します。相続では、被相続人の死亡日(相続開始日)時点の残高が、遺産の評価や相続税の計算の基準になります。そのため、残高証明書は相続開始日を証明年月日として取得するのが基本です。なお、申込日当日や、申込日から過去10年以上前の日付を証明年月日とする残高証明書は発行できない取扱いになっています。

死亡前後の入出金

通常貯金預払状況調書(取引履歴)を取得すると、口座の入出金の経過を確認できます。相続調査としては、相続開始前後の大きな出金がないか、毎年のように繰り返される定期的な振込(資金援助や贈与の可能性があるもの)がないか、名義の分からない振込先・振込元がないかといった点を確認します。これらは、後の遺産分割で生前贈与・特別受益が問題になる場面の手がかりになります。

民営化前の郵便貯金(権利消滅貯金)

民営化前(2007年9月30日以前)に預け入れた定額郵便貯金・定期郵便貯金・積立郵便貯金は、満期日の翌日から20年間払戻し等の取扱いがないと「権利消滅のご案内(催告書)」が送付され、その送付日から2か月を経過しても払い戻されないと、貯金を払い戻す権利が消滅します(旧郵便貯金法第29条)。ゆうちょ銀行の現存調査でも、民営化前の郵便貯金は通常の調査と扱いが分かれており、窓口で申し出ることで調査が行われます。

ただし、令和6年(2024年)1月からは、権利が消滅した後であっても、貯金や催告書の存在を認識していなかったことなどに「真にやむを得ない事情」があると認められる場合には、払戻しに応じる運用が実施されています。古い貯金通帳や証書が見つかった場合は、現存調査で確認したうえで、同機構や窓口で取扱いを確認することをお勧めします。

被相続人名義以外の貯金(名義貯金)

被相続人名義の口座だけでなく、配偶者・子・孫などの名義であっても、その名義人の収入や資産状況と整合せず、実質的に被相続人が形成した貯金と評価される場合があります(いわゆる名義貯金)。家族名義の貯金がある場合には、その原資が誰のものかという視点で内容を確認しておくと、後の遺産の範囲をめぐる整理がしやすくなります。

参考リンク

相続トラブルに備えたアドバイス

全国一括照会という網羅性を活かす

ゆうちょ銀行は、通帳を持つ金融機関の中でも、一回の手続で全国の口座をまとめて調べられるという網羅性の高さが特長です。被相続人がどの金融機関に口座を持っていたか分からないときは、まずゆうちょ銀行に現存調査をかけることをお勧めします。特に高齢の被相続人ではゆうちょ口座を持っているケースが多く、調査の出発点として有用です。民間の銀行については別途の調査が必要ですので、ゆうちょの調査と並行して進めるとよいでしょう。

貯金の種類の見落としによる遺産漏れに注意する

通常貯金だけを確認して、定額貯金・積立貯金・国債・投資信託を見落とすと、遺産の一部を把握しないまま遺産分割協議を進めてしまうことになります。協議が成立した後にこれらが判明すると、遺産分割のやり直しや蒸し返しにつながりかねません。現存調査の結果では、貯金の種類欄を必ず確認し、判明したすべての種類について残高を把握しておくことが望まれます。

残高証明書は相続開始日時点で取得する

残高証明書は、相続開始日(被相続人の死亡日)を証明年月日として取得しておくことをお勧めします。遺産分割や相続税の手続では、相続開始日時点の残高が基準になるためです。証明年月日を誤ると、後の手続で改めて取得し直す手間が生じます。

取引履歴は生前贈与・特別受益の手がかりになる

通常貯金預払状況調書(取引履歴)で確認できる生前の資金移動は、相続人の誰かへの生前贈与があったかどうかという論点に関わります。子や孫への定期的な送金、まとまった金額の出金などがある場合、後の遺産分割で特別受益として持ち戻しが問題になることがあります。なお、どのような贈与が特別受益にあたるか、その持ち戻しの判断基準といった点は遺産分割の実務に属する問題ですので、詳細は遺産分割Q&Aの該当記事をご確認ください。調査の段階では、まず該当しそうな入出金を客観的に拾い出しておくことが大切です。

相続人間の情報共有

判明した財産の内容を相続人間で共有しておくことが、後の「財産を隠しているのではないか」という疑念や紛争を防ぐことにつながります。一部の相続人だけが情報を握っている状態は、争いの火種になりやすいため、調査の早い段階で情報を開示し合うことが望まれます。

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