国債・地方債・社債の調査はどのようにしたらいいですか?

回答

国債・地方債・社債は振替制度によりペーパーレス化されており、紙の証券は手元に残りません。預金通帳の利金入金や取引残高報告書から取引金融機関を特定し、各金融機関に残高証明書を請求して、銘柄・額面金額・償還日・個人向け国債の有無などを確認します。取引先の証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)への開示請求を併用します。

目次

調査・手続の概要

国債は国が、地方債は都道府県・市町村などの地方公共団体が、社債は株式会社などの企業が、それぞれ資金調達のために発行する債券です。証券会社だけでなく、銀行・ゆうちょ銀行・信用金庫など幅広い金融機関で販売されており、被相続人が老後資金の運用先として保有しているケースは少なくありません。

現在、これらの債券は「社債、株式等の振替に関する法律」に基づく振替制度によりペーパーレス化されており、紙の債券は発行されません。国債は日本銀行を振替機関とする国債振替決済制度により、地方債・社債などは証券保管振替機構(ほふり)を振替機関とする一般債振替制度により、いずれも金融機関に開設された口座(振替口座簿)上の記録として管理されています。

このため、遺品整理で自宅を探しても、債券そのものは見つかりません。特に銀行・ゆうちょ銀行で購入した国債等は、預貯金口座とは別の「国債等振替決済口座」で管理されているため、預貯金の調査だけでは保有が判明しないことがあります。相続調査としては、(1)自宅に残る資料から取引金融機関を特定し、(2)その金融機関に残高証明書を請求して、保有銘柄・額面金額・償還日などの記載内容を確認する、という二段階で進めます。

申請主体・申請先・必要書類

残高証明書の請求は、相続人であれば単独で行うことができる運用が一般的です。

項目内容
請求できる人相続人(単独で可)、遺言執行者、相続財産清算人、これらの代理人
請求先被相続人が取引していた金融機関(証券会社・銀行・ゆうちょ銀行・信用金庫等)の窓口または相続手続専用センター
主な必要書類被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本、請求者が相続人であることが分かる戸籍謄本(法定相続情報一覧図で代替可)、請求者の本人確認書類、印鑑証明書(金融機関により要否が異なる)
費用残高証明書の発行手数料(金融機関・通数により異なる ※要確認)
所要期間請求から1〜2週間程度(金融機関により異なる)

申請の流れ

ステップ1:自宅の資料から手がかりを探す

債券はペーパーレス化されているため、保有の手がかりは書類と通帳の記録に限られます。確認すべき資料は、(1)預金通帳の入金記録(利付国債・地方債・社債は半年ごとに利金が普通預金口座等に入金されるため、年2回の定期的な入金が手がかりになります)、(2)証券会社・銀行から定期的に郵送される取引残高報告書、(3)債券購入時の口座開設書類や契約締結前交付書面、(4)償還や利払いの案内などの郵便物です。

なお、外国債を保有していた場合は、証券会社に外国証券取引口座が開設されており、売買のつど取引報告書が郵送されています。

ステップ2:取引金融機関を特定する

手がかりが乏しく取引先の証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)への登録済加入者情報の開示請求で、被相続人名義の口座がある証券会社等を確認できます。ただし、この開示請求の対象は上場株式などの「振替株式等」に係る口座であり、国債や一般の社債・地方債の保有自体が開示されるわけではありません。開示で判明した証券会社に残高証明書を請求すれば、その口座で保有する債券も併せて判明する、という間接的な使い方になります。

一方、銀行・ゆうちょ銀行・信用金庫で購入した国債等は、ほふりへの開示請求では判明しません。預貯金口座の調査の際に、国債等振替決済口座の有無も併せて照会することが、漏れを防ぐポイントです。

ステップ3:残高証明書を請求する

取引金融機関が判明したら、相続発生の連絡をしたうえで、死亡日を基準日とする残高証明書を請求します。債券を保有している場合、残高証明書には預貯金や株式と並んで債券の銘柄・数量が記載されます。

ステップ4:記載内容を確認する

取得した残高証明書・取引残高報告書の記載内容を確認します。

取得した書類で確認すべき項目

債券の種類・銘柄・回号

残高証明書には「利付国庫債券(10年)第○回」「個人向け国債変動10年第○回」「○○県公募公債」「第○回○○株式会社社債」などの銘柄名が記載されます。まず、国債・地方債・社債のいずれか、国債であれば通常の利付国債か個人向け国債かを区別します。個人向け国債には変動10年・固定5年・固定3年の3タイプがあり、回号によって利率や償還日が異なります。

残高証明書で確認した債券は、遺産分割の対象財産として遺産目録に計上することになります。

額面金額と時価の区別

残高証明書の債券の金額は、額面金額(償還時に戻る金額)で表示されるのが基本です。債券の価格は市場で日々変動しているため、額面金額と時価は一致しません。遺産としての評価額を確認したい場合は、日本証券業協会が毎営業日公表している売買参考統計値(国債・地方債・社債等の店頭市場の実勢価格)を参照するか、金融機関に死亡日時点の評価額を記載した証明書(評価額証明書)の発行を依頼します。

償還日と利払日

各銘柄の償還日(満期)と利払日を確認します。償還日が近い銘柄は、遺産分割協議中に償還を迎え、償還金が被相続人名義の口座に入金されることがあります。また、死亡日後に支払われた利金の扱いも、後の分割協議で整理が必要になるため、利払日と入金先口座を把握しておきます。

個人向け国債の中途換金の条件

個人向け国債は発行から1年間は原則として中途換金できませんが、口座名義人が死亡した場合には、特例としてこの期間中でも中途換金が認められています。換金時には中途換金調整額(直前2回分の利子相当額をもとに計算)が差し引かれるため、額面金額どおりの金額になるとは限らない点も確認しておきます。

外貨建て債券の有無と円換算

外国債を保有していた場合、外貨建て債券は利子や償還金の円換算額が為替レートにより変動します。残高証明書上の表示が外貨建てか円換算かを確認し、円換算の場合はどの時点のレートによるものかを金融機関に確認します。

参考リンク

目次