共有不動産の共有関係を解消したいのですが、どのような方法がありますか?

回答

共有不動産の共有関係を解消する方法は、大きく分けて4つあります。①共有物分割請求(民法256条1項)、②共有持分の譲渡(売却)、③共有持分の放棄(民法255条)、④共有持分買取権の行使(民法253条2項)です。このうち、最も代表的な方法は共有物分割請求であり、協議がまとまらない場合には裁判所に分割を請求することができます(民法258条1項)。

目次

共有関係の解消方法の意味と全体像

共有不動産をめぐる紛争の根本的な解決方法は、共有関係そのものを解消することです。共有者の間で使用方法や費用負担について個別に問題を解決しても、共有関係が続く限り再び紛争が生じる可能性があります。

共有関係を解消する方法は、主に次の4つに分類できます。

方法根拠条文概要
共有物分割請求民法256条1項・258条共有物を分割して共有関係を解消する
共有持分の譲渡(売却)民法第206条自己の持分を他の共有者や第三者に売却する
共有持分の放棄民法255条自己の持分を放棄し、他の共有者に帰属させる
共有持分買取権の行使民法253条2項費用を負担しない共有者の持分を強制的に取得する

たとえば、AとBが土地を2分の1ずつ共有している場合、Aが共有関係から離脱するには、共有物分割によってAが金銭を受け取る、Aの持分を第三者に売却する、Aが持分を放棄してBの単独所有にする、といった選択肢があります。

各解消方法の要件と内容

共有物分割請求

共有物分割請求は、共有関係を解消するための最も代表的な方法です。各共有者は、原則としていつでも共有物の分割を請求することができます(民法256条1項)。

まず共有者全員で分割方法について協議(話し合い)を行います。全員が合意すれば、その合意に従って分割を実行します。協議がまとまらないとき、または協議ができないときは、裁判所に分割を請求することができます(民法258条1項)。これが共有物分割請求訴訟です。

裁判所が命じることのできる分割方法(分割類型)は、次の3種類です。

分割類型根拠条文内容
現物分割民法258条2項1号不動産を物理的に分けて各共有者の単独所有にする
全面的価格賠償(賠償分割)民法258条2項2号共有者の1人が他の共有者に金銭を支払って不動産全体を取得する
換価分割(競売)民法258条3項不動産を第三者に売却し、代金を持分割合に応じて分配する

なお、共有物分割請求は原則として自由に行使できますが、例外的に、5年以内の不分割契約がある場合(民法256条1項ただし書)や、権利濫用にあたる場合には認められないことがあります。

共有持分の譲渡(売却)

各共有者は、自己の持分を自由に譲渡(売却)することができます。持分の売却にあたって、他の共有者の同意は必要ありません。売却先は他の共有者でも第三者でも構いません。

持分を他の共有者に買い取ってもらえれば、その共有者の持分が増え、最終的に単独所有に至ることもあります。一方、第三者への売却の場合は、不動産全体の売却と比べて価格が低くなりやすいという特徴があります(共有減価)。

共有持分の放棄

共有者の1人がその持分を放棄すると、放棄された持分は他の共有者に帰属します(民法255条)。持分の放棄は、他の共有者への通知だけで法的な効果が生じるため、対価を得ることなくスピーディーに共有関係から離脱したい場合に有用です。

ただし、持分移転登記をするためには他の共有者の協力が必要です。協力が得られない場合は、登記引取請求訴訟を提起することになります。

共有持分買取権の行使

共有者が1年以内に共有物に関する費用(固定資産税など)の負担義務を履行しないときは、他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます(民法253条2項)。

この制度は、費用を支払わない共有者の持分を強制的に買い取るという特別な救済措置です。

各解消方法の効果と選択の目安

共有物分割請求は、最終的に裁判所の判断を得られるという点で最も確実な方法です。共有物分割訴訟が提起されれば、特殊な場合を除き、裁判所は何らかの形で共有関係を解消する判決を下します。このため、共有物分割は実務上、交渉における最終手段(交渉が決裂した場合の対応策)としても位置づけられています。

共有持分の譲渡は、他の共有者の同意が不要で単独で行える点がメリットですが、第三者への売却の場合は共有減価のために経済的に不利になりやすいという側面があります。

共有持分の放棄は、対価が不要な不動産(価値が低い不動産など)を手放したい場合には効率的な方法です。もっとも、対価を得ることはできません。

なお、相続によって共有状態になった不動産(遺産共有)の場合は、原則として共有物分割ではなく遺産分割の手続によって解消する必要があります(民法258条の2第1項)。ただし、相続開始から10年を経過した場合は、共有物分割請求も可能になります(同条2項)。

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