「長男の嫁」の介護はタダ働きじゃない!義兄弟に請求できる「特別寄与料」の相場と期限

「長男の嫁だから」「同居しているから」という理由で、義父母の介護を一手に引き受けてこられた方もいらっしゃると思います。ご自身の生活や時間を削って尽くしてこられたその労力は、本来とても尊いものです。

これまでは、相続人ではない親族がどれだけ介護をしても、遺産相続の場面ではその貢献が考慮されにくいという実情がありました。しかし、法改正により、その不公平を解消するための「特別寄与料(とくべつきよりょう)」という制度が始まりました。

これは、介護などの貢献に対して、親族が正当な対価(金銭)を請求できる権利です。ご自身の頑張りをきちんと評価してもらうために、制度の仕組みと注意点について解説します。

目次

新しい制度「特別寄与料」とは?

以前の法律では、遺産を受け取れるのは、原則として「相続人(配偶者や実の子どもなど)」に限られていました。そのため、息子の妻などが献身的に介護をしても、報われないケースが多かったのです。

相続人ではない親族も請求できる

新しい制度では、相続人ではない親族であっても、一定の要件を満たせば、相続人に対して金銭を請求できるようになりました。

対象となるのは「6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族」です。つまり、息子の妻(長男のお嫁さんなど)も対象になります。

「介護の対価」はどれくらい? 計算の目安

では、その貢献は具体的にいくらくらいになるのでしょうか。感情的な話し合いにならないよう、実務で使われている計算の考え方を知っておくことが大切です。

記録を残しておくことが大切

特別寄与料が認められるには、条件があります。

  • 無償で労務を提供したこと(介護の対価を受け取っていないこと)
  • それによって故人の財産が維持・増加したこと(あなたが介護したことで、ヘルパー費用などの出費を抑えられた、など)

これらを証明するために、介護日誌要介護認定の資料介護サービスの利用票などを整理しておくことをおすすめします 6

計算式の目安

金額について話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所の実務で用いられる以下の計算式が目安になります。

介護報酬相当額 × 療養看護の日数 × 裁量割合

  • 介護報酬相当額:プロのヘルパーさんの日当などを参考にします。
  • 裁量割合(0.7前後):親族による介護は、扶養義務の範囲内という側面もあるため、プロの単価そのままではなく、事情に合わせて調整されます(0.5〜0.8程度が目安とされています)。

【重要】手続きには期限があります

この制度を利用する上で、最も気をつけなければならないのが「期限」です。いつでも請求できるわけではありません。

期限は「6か月」が目安

特別寄与料を請求できる期間は、以下のいずれか早い方までと決まっています。

  1. 相続の開始(義親の死)および相続人を知った時から6か月
  2. 相続開始の時(死亡日)から1年

特に「6か月」という期間は、法事や手続きなどで慌ただしく過ぎてしまうものです。遺産分割の話し合いが落ち着いてから…と考えていると、期限を過ぎてしまう可能性があります。

まずは意思表示を

権利を確保するためには、相続人に対して「請求します」という意思を伝える必要があります。後で「言った、言わない」のトラブルにならないよう、内容証明郵便などで送ると確実です。

もし話し合いがまとまらない場合は、「期限内に」家庭裁判所へ申立てを行う必要があります。

もし話し合いがまとまらなかったら?

相続人の方々にもそれぞれの言い分があり、スムーズに支払いに応じてもらえないこともあるかもしれません。

家庭裁判所の利用も検討を

当事者同士での話し合いが難しい場合は、家庭裁判所に「調停(話し合い)」や「審判」を申し立てることができます。

裁判所が、介護の期間や内容、相続財産の額などを総合的に考慮して、妥当な金額を判断してくれます。

相続人全員で分担する

特別寄与料が認められた場合、相続人が複数いれば、それぞれの相続分(遺産を受け取る割合)に応じて分担して支払うことになります。

まとめ:期限に要注意!

特別寄与料は、長年の献身的なサポートを「権利」として認めるための制度です。

ご自身の苦労を「過去のこと」として飲み込んでしまう前に、まずはこの制度が使えるかどうか検討してみてはいかがでしょうか。ただし、「6か月」という期限には十分ご注意ください。

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