自分に必要な相続手続きだけを無料で効率的に調べる方法
相続の手続きを自分でやるために
相続手続きを自分でやるためには、細かい手続きの内容以前に、そもそもどこでどのような手続きをすればいいかを知る必要があります。しかし、様々な相続手続きをやみくもに調べるのは効率が悪く、自分に必要な手続きだけを取り出し、ピンポイントで調べた方が楽です。
今回は、相続手続きを進めるための準備段階として、自分に必要な手続だけを調べる方法をお話します。
基本的な考え方
残された遺産から手続きを逆算することで、自分に必要な相続手続きだけを絞り込みます。
大まかな進め方は、
- 遺言書の調査&確認
- 重要書類のピックアップ&仕分け
- 通帳の精査&出入金の仕分け
- 手続先が運営する公式ホームページへのダイレクトアクセス
になります。
ステップ1:遺言書を探し、内容を確認する
遺言書が残されている場合、相続手続きも遺言書の内容に沿って行います。
遺言書があるかどうかで相続手続きの流れが大きく変わりますし、手続きを行う上で必要な書類ですので、まずは遺言書を探します。
遺言書には、手書きの遺言書と公正証書の遺言書があります。
手書きの遺言書を見つけたときは、勝手に封を開けてはならず、裁判所で「検認」という手続をしなければなりません。なお、公正証書の遺言書の場合は、「検認」の手続は不要です。
また、自宅や貸金庫などに遺言書がなかったとしても、遺言書を書いていないとは限りません。手書きの遺言書を法務局に預けているのかもしれませんし、公正証書の正本や謄本を失くしてしまっただけかもしれません。念のため、法務局や公証役場で確認しておく必要があります。
ステップ2:遺品を整理し、重要書類の仕分けをする
相続手続きを大きく分けると、
- 財産関係
- 支払い関係
- 役所関係
に仕分けをすることができます。
そのため、まずは、亡くなった方の契約書や領収証などの重要書類を①~③に仕分けをすることが必要です。
なお、遺言書がある場合には、遺言書に記載されている財産と突き合わせをし、すでに処分ないし解約されているものがあるかどうかも確認します。
財産関係
財産について必要な手続は、主に名義の変更ないし解約です。
通帳、キャッシュカード、電子マネーカード(Suicaなど)、売買契約書、賃貸借契約書、登記事項証明書、車検証、配当通知書、保険証券など、財産と関係がありそうな書類を探します。
なお、インターネット証券については、紙ベースでの書類がない可能性があります。「証券保管振替機構」で証券口座の有無を確認できますので、ネット取引をしていた可能性がある場合には、情報開示を求めた方がいいでしょう。
支払い関係
支払いについて必要な手続は、主に名義の変更ないし支払いです。
クレジットカード、ローン契約書、請求書、領収証など、支払いと関係がありそうな書類を探します。
役所関係
役所について必要な手続は、主に資格喪失、給付、支払いです。
健康保険証、介護保険証、年金証書、納税通知書など、役所と関係がありそうな書類を探します。
ステップ3:通帳を精査し、出入金の仕分けをする
相続において、最重要ともいえる作業が通帳の精査です。紙ベースの資料がなかったとしても、預金口座からの送金・引落しで財産や負債が見つかることも多いです。通帳の記載の中でも重要なものは、以下のとおりです。
財産関係
・定期利息の入金→定期預金がある
・配当金の入金→株式がある
・証券会社への送金→有価証券やFX口座がある
・固定資産税の引落し→不動産がある
支払い関係
・クレジット会社の引落し→クレジットの支払いがある
・ローン会社の引落し→ローンの支払がある
役所関係
・年金の振込み→年金受給がある
・固定資産税の引落し→固定資産税の支払いがある
なお、上記は通帳に記載があるものを探す作業でしたが、通帳の読み方として、
「本来あるべきなのに記載がない」ものを探すこと
も重要です。
たとえば、水道光熱費の請求書・領収書がなく、通帳にも引落しがないのであれば、発見した通帳以外の預金口座があり、そこから引き落とされている可能性があります。
また、多額の預金引出しがあるにもかかわらず、その他の口座に入金されていないのであれば、定期預金など他の口座がまだある可能性がありますし、何か大きな買い物や生前贈与をした可能性もあります。
「本来あるべきなのに記載がない」ものも探さないと、漏れてしまう遺産が出てきますので、注意が必要です。
また、クレジットカードで支払いがなされている場合もありますので、利用明細書を取得し、通帳と同様に精査する場合もあります。
ステップ4:インターネット検索で手続先のホームページを見つける
書類の整理、通帳(必要に応じてクレジットカードの利用明細も)の精査により、自分に必要な相続手続の仕分けをすることができます。
その後は、それぞれの会社や役所(つまり、手続先)をインターネットで検索し、その会社や役所が運営しているホームページに直接アクセスします。「●●銀行 相続手続」「●●証券 相続手続」など、書類や通帳に出てくる会社や役所の名称と相続手続を組み合わせて検索すると、該当ページが出てくる場合が多いです。
なお、アクセスしたページが手続先の公式ホームページかどうかを必ず確認してください。手続先の情報が一次情報ですので、正しいことが記載されています。それ以外のホームページに記載されていることは二次情報ですので、無視して構いません。
相続手続の該当ページを見つけたら、プリントアウトしたり、メモに書いたりするなりして、手続の内容、必要書類、問い合わせ先をいつでも確認できるようにしておきます。後は、必要な手続を一つ一つ潰していくだけです。