共有駐車場はトラブルの元!「賃料独り占め」「タダ停め」するきょうだいへの対抗策

「毎月お金が入るから」と、相続した駐車場を共有のままにしていませんか?

実は、駐車場は実家(空き家)以上に揉めやすい資産です。なぜなら、「現金(賃料)」が絡むため、きょうだい間で損得勘定がシビアになりやすいからです。

特に、特定のきょうだいが勝手に車を停めていたり、賃料の分配が曖昧だったりする場合、放置すれば将来的に大きな金銭トラブルに発展します。

本記事では、共有駐車場特有の「共有リスク」と、反対するきょうだいを説得して解決するための「法的ロジック」を解説します。

目次

駐車場ならではの「共有リスク」3選

駐車場経営はただの「不労所得」に見えますが、共有状態の場合、意思決定や利益配分で衝突するケースもあります。代表的な3つのトラブルを見ていきましょう。

①収益(賃料)の分配で揉める。「どんぶり勘定」は通じない

共有者には、その持分割合に応じて共有物(駐車場)全体を使用・収益する権利があります。つまり、賃料収入は持分に応じて分配されるのが原則です。

しかし、実家近くに住む兄弟が「草むしりや契約者対応(管理)をしているから」という理由で、賃料を多く取ろうとしたり、着服したりするケースが後を絶ちません。

法的には、管理の手間賃と持分権に基づく収益分配は別問題です。どんぶり勘定での管理は、長年の「使途不明金」疑惑を生み、兄弟間の不信感を決定的なものにします。

②特定の兄弟による「タダ停め」。独占使用には使用料を請求できる

「実家の跡地だし、俺の車を停めてもいいだろう」と、特定の兄弟が共有駐車場を独占的に使用してしまうケースです。

これは他の共有者にとって「賃料収入の機会損失」であり、不公平極まりない状態です。

ここで有効なのが、令和3年の民法改正で明文化された「対価償還義務」(民法249条2項)です。

共有者の一人が、他の共有者の合意なしに持分を超えて駐車場を使用している場合、他の共有者はその独占使用者に対し、「自己の持分を超える使用の対価(賃料相当額)」を請求する義務が生じます。

つまり、「タダ停め」をしているきょうだいに対し、「相場の駐車料金の半分(持分1/2の場合)を払え」と法的に請求できるのです。この権利を主張することは、なあなあな関係を解消する強力な武器になります。

③修繕の方針対立。「砂利のまま」vs「アスファルトにしたい」

駐車場の価値を維持・向上させるための修繕でも揉め事が起きます。

例えば、「砂利敷きをアスファルト舗装にする」といった変更は、形状や効用の著しい変更を伴わない「軽微変更」にあたると考えられ、持分価格の過半数の同意で決定できます。

しかし、きょうだい2人で持分が1/2ずつの場合、一方が「金がかかるから砂利のままでいい」と反対すれば、過半数に達せず何も決められません。

結果として、駐車場は荒廃し、借り手がつかなくなり、固定資産税だけが出ていく「負動産」になってしまうリスクがあります。

「土地を半分に分けよう」という提案の落とし穴

「揉めるくらいなら、土地を半分に切って(分筆して)、それぞれが好きに使えばいい」

そう考える方もいるでしょう。これを「現物分割」と呼びますが、駐車場においては致命的なデメリットがあります。

駐車場を分筆(現物分割)すると、車が停めにくい「死に地」になりやすい

広い土地であれば分筆も有効ですが、一般的な駐車場を半分に割ると、以下のような問題が発生します。

  • 敷地が狭くなる:車の出し入れが困難になり、駐車場としての機能が失われる。
  • 不整形地になる:土地の形がいびつになり、資産価値が下がる。
  • 接道義務の問題:建築基準法上の道路に接しなくなり、将来的に建物が建てられなくなる可能性がある。

このように、現物分割は土地の価値を著しく損なう(安くなってしまう)可能性が高いため、駐車場においては推奨できないケースが多いのです。

価値を維持するなら「全体売却」か「代償分割(誰かが買い取る)」一択

資産価値を下げずに解決するには、以下の2つの方法が現実的です。

  1. 換価分割(全体売却):全員で協力して駐車場を第三者に売却し、諸経費を引いた現金を分ける方法。最も公平で、高値で売れる可能性が高い。
  2. 代償分割(賠償分割):特定のきょうだい(例えば駐車場を使いたい人)が土地を単独で取得し、他の兄弟に「代償金(持分相当の現金)」を支払う方法。土地の評価額が問題になりやすい。

もし「使い続けたい」と主張するきょうだいがいるなら、「それなら私の持分を相場で買い取ってくれ」と提案(代償分割)するのが筋です。

反対するきょうだいを説得する「競売」リスク

感情論で「売りたくない」と言うきょうだいには、法的なリスクと数字のデメリットを突きつけることが重要です。

「共有物分割請求」になれば、賃料収入どころか競売で資産が目減りする

交渉が決裂した場合、最終手段として裁判所に「共有物分割請求訴訟」を起こすことができます。

この訴訟を起こされると、被告となったきょうだいは無視することができず、裁判所は必ず「分割」の判決を下します。

ここで重要なのは、裁判所が「現物分割も代償分割もできない」と判断した場合、「競売(換価分割)」を命じる可能性があることです。

競売になると、売却価格は市場価格の7割程度にまで下がるリスクがあります。

「このまま話し合いがまとまらず裁判になれば、強制的に競売になり、お互いに損をする(安く買い叩かれる)。それよりは、今、一般市場で高く売って現金を分けたほうが賢明ではないか」

このように、訴訟と競売のリスクを交渉材料として提示することで、相手に現実的な判断を促すことができます。

まとめ:小銭(賃料)を追うより、売却でまとまった資産に変えよう

共有駐車場のトラブルは、時間が経つほど相続が発生して権利関係が複雑化し、解決が困難になります。

目先の少額な賃料や、「タダで停められる」という既得権益に固執して共有状態を続けることは、将来的に資産価値を毀損し、きょうだいの縁を切る火種になります。

  • 独占使用されているなら「対価償還義務」で使用料を請求する。
  • 「共有物分割請求訴訟(競売リスク)」をチラつかせて交渉する。

これらの法的知識を武器に、中途半端な共有関係を解消し、ご自身の資産を守るための行動を起こしてください。まずは不動産会社に査定を依頼し、「いくらで売れるのか(いくら損をしているのか)」を数字で把握することから始めましょう。

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