共有不動産とは?なぜトラブルになりやすいのですか?

回答

共有不動産とは、1つの不動産を2人以上が共同で所有している状態をいいます(民法249条以下)。共有では、不動産の使用・管理・処分のそれぞれについて共有者間の合意が必要とされるため、関係が悪化すると意見の対立が生じやすく、トラブルに発展しやすい構造的な特徴があります。

目次

共有不動産の意味と仕組み

共有不動産とは、1つの土地や建物を複数の人が共同で所有している状態のことです。民法第2編第3章第3節(民法249条〜262条の3)に、共有に関する基本的なルールが定められています。

共有が生じる典型的な原因としては、相続によって被相続人の不動産を複数の相続人が取得するケースや、夫婦が共同で住宅を購入するケースがあります。

共有状態では、各共有者はそれぞれ「持分」(もちぶん)と呼ばれる権利の割合を有しています。各共有者の持分は、特段の事情がない限り相等しいものと推定されます(民法250条)。たとえば、AとBの2人が土地を共有している場合、特に取決めがなければ、AとBの持分はそれぞれ2分の1ずつと推定されます。

各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます(民法249条1項)。ここでいう「全部について」とは、持分が2分の1であっても土地の半分しか使えないという意味ではなく、土地全体を持分に応じて使用できるという意味です。

共有不動産がトラブルになりやすい理由

共有不動産をめぐるトラブルが生じやすい理由は、大きく分けて3つあります。

意思決定に関するルールの制約

共有不動産に関する行為は、その内容の重大さに応じて、意思決定に必要な要件が異なります。

民法は、共有物に関する行為を「保存行為」「管理行為」「変更・処分行為」の3つに分類し、それぞれ次のように定めています。

行為の分類具体例必要な要件根拠条文
保存行為建物の簡単な修繕など各共有者が単独でできる民法252条5項
管理行為賃貸借契約の締結(短期)、賃料の設定など持分の価格の過半数民法252条1項
変更・処分行為売却、大規模な改修・建替えなど共有者全員の同意民法251条1項

このように、不動産の売却や大規模な改修には共有者全員の同意が必要であり、1人でも反対する共有者がいると実行できません。また、賃貸借契約の締結などの管理行為についても、持分の過半数の賛成が必要です。共有者間の関係が悪化すると、こうした意思決定が円滑に進まなくなるため、不動産の活用が行き詰まる原因となります。

共有者の利害が構造的に対立しやすいこと

共有不動産では、共有者の間で利害が構造的に対立しやすいという特徴があります。

たとえば、共有者の1人が建物に居住しているケースでは、居住している共有者は無償で不動産を使用できている一方、居住していない共有者は自分の持分に応じた利用ができていない状態となります。このような不公平が長期間続くと、居住していない共有者から明渡請求や金銭請求(使用対価の償還請求)がなされることがあります(民法249条2項)。

また、収益不動産(賃貸マンションなど)が共有となっている場合には、経費の分担や賃料収入の分配について共有者間で意見が対立することも少なくありません。

規律に不明確な部分が多いこと

共有に関する民法の規定は条文数が限られており、解釈に幅がある部分が多いという特徴があります。令和3年改正(2023年4月1日施行)により法整備が進みましたが、なお不明確な点も残されています。

たとえば、ある行為が「管理」に分類されるのか「変更」に分類されるのかによって、必要な賛成の割合が大きく変わりますが、その判断基準は個別の事情によって異なり、必ずしも明確ではありません。このような規律の不明確さが、共有者間の見解の相違を生み、紛争が複雑化する一因となっています。

共有不動産の紛争と解決手段の全体像

共有不動産をめぐる紛争が生じた場合、その解決手段は大きく2つに分けることができます。

1つは、共有関係を維持したまま個別の問題に対処する方法です。居住している共有者に対する金銭請求(使用対価の償還請求)や、固定資産税などの経費を立て替えた場合の求償請求などがこれにあたります。

もう1つは、共有関係そのものを解消する方法です。各共有者は、原則としていつでも共有物の分割を請求することができます(民法256条1項)。分割の方法としては、現物分割(不動産を物理的に分ける方法)、全面的価格賠償(共有者の1人が他の共有者の持分を買い取る方法)、換価分割(第三者に売却して代金を分ける方法)の3種類があります(民法258条2項・3項)。共有者間の協議がまとまらない場合には、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起して、裁判所の判断を仰ぐことになります。

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