登記上の持分割合と実際に出したお金の割合が違います。どちらが正しいのですか?
当事者間(共有者同士)では、登記上の持分割合ではなく、実際の出資割合など実体上の持分割合が優先されます。これに対し、第三者との関係では、持分割合について登記が対抗要件となります(民法177条)。登記と実体のいずれからも持分割合を認定できない場合に限り、各共有者の持分は相等しいものと推定されます(民法250条)。
結論
登記上の持分割合と実際の出資割合が異なる場合、結論としては、当事者間では実体上の持分割合が優先されます。
共有不動産では、共有持分の登記がなされ、持分割合も登記に記録されます。しかし、登記上の持分割合は必ずしも実態を反映しているとは限りません。当事者間であれば、購入資金を負担した割合や当事者間の合意内容といった証拠に基づいて、登記とは異なる持分割合を主張することが可能です。
根拠と条件
当事者間での持分割合の認定
共有者同士の間では、登記の記載にかかわらず、実体上の持分割合を主張することができます。これは、当事者間では相互に民法177条の「第三者」にあたらないためです。
たとえば、AとBが不動産を共同購入した場合、A・B間の合意によって持分割合が決まります。Aが3分の1、Bが3分の2と合意したにもかかわらず、登記が両方とも2分の1となっていても、A・B間では合意内容どおりの持分割合を主張できます。合意内容が明確でない場合は、購入資金を負担(支出)した割合が合意内容であると判断されるのが通常です。
それでも最終的に証拠による認定ができない場合に初めて、民法250条の推定により、均等の持分割合(各2分の1)として扱われます。
第三者との間での持分割合の対抗関係
当事者間ではなく第三者との関係では、持分割合について対抗関係が生じます。
たとえば、A・Bが共有している不動産について、Aが共有持分をCに譲渡した場合を考えます。Cが「自分の共有持分は3分の2である」と主張し、Bが「Cの共有持分は3分の1である(Bの共有持分が3分の2である)」と主張したとします。この場合、B・C間では持分割合について対抗関係にあるといえます。Bの共有持分割合が多い分、Cの共有持分割合は少なくなるという関係があるためです。
そこで、民法177条により、自身の共有持分割合について登記がないと対抗できないことになります。
民法250条(平等推定)が適用される場面
民法250条は、共有持分割合は「相等しいものと推定する」と定めています。ただし、これはあくまで推定にすぎず、通常は証拠により共有持分割合を認定し、どうしても認定できない場合に初めて民法250条による均等の持分割合とする取扱いがなされます。
共有不動産の場合、共有持分割合は必ず登記されることになっていますので(不動産登記法59条4項)、「共有持分の登記はあるが持分割合の登記がない」という状況は現在では生じません。民法250条の適用が問題となるのは、権利の登記自体がなされていない場合(実体は共有だが、登記は単独所有となっている場合)などの特殊な状況に限られます。
具体的な場面での適用
設例1:離婚後の元夫婦の共有不動産
夫が不動産を取得し、夫の単独所有の登記がなされていたとしても、実質的には夫婦の共有という取扱いになる場合があります。離婚をした時の財産分与により、具体的な夫婦間の権利の帰属が決まります。このため、「登記は単独所有、実体は共有」という状態が生じることがあり、裁判所が実体上の持分割合を認定した裁判例があります。
設例2:共同購入で登記の持分割合と出資割合が異なるケース
交際関係にあった男女が共同で不動産を購入し、登記としてはそれぞれ2分の1としていたものの、購入金額のうち各自の負担額が違うため、実体上は別の割合であると主張されたケースがあります。このような場合、裁判所は登記以外の事情(証拠)から当事者の合意内容を認定します。合意内容を明確に認定できなかったときは、最終的に登記した割合で合意したと認定されることもあります。
なお、最高裁は、共有物分割訴訟において前提問題である共有者の認定については証拠による事実認定をせずに登記で判断するという枠組みを示しています(最高裁昭和46年6月18日判決)。

