共有不動産の家賃収入は、確定申告でどう扱えばいいですか?

回答

共有不動産から得た家賃収入は、各共有者が持分割合に応じた金額を自分の不動産所得として確定申告します(民法249条1項)。共有名義でまとめて1通の申告をするのではなく、共有者ごとにそれぞれ申告するのが原則です。必要経費も持分割合に応じて各共有者が按分します。

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結論

共有不動産から得た家賃収入は、各共有者がそれぞれの持分割合に応じた金額を、自分の不動産所得として確定申告する必要があります。共有名義であっても、代表者が1通でまとめて申告するのではなく、共有者ごとに別々に申告するのが原則です。

共有者は持分に応じて共有物から生じる収益(果実)を取得する権利を有しており(民法249条1項)、税務上も、各共有者がそれぞれの持分に応じた不動産所得を得ているものとして取り扱われるためです。

根拠と条件

賃料収入は各共有者に持分割合で帰属する

共有不動産から生じる賃料などの収益は、共有者が持分割合に応じて取得します。たとえば、AとBが持分2分の1ずつで共有する賃貸マンションから月額30万円の賃料収入がある場合、AとBはそれぞれ15万円ずつを取得する権利を有します。

賃料の受け取り口座を便宜上共有者の1人の口座に指定しているケースでも、税務上の帰属は持分に応じて判断されます。受け取った共有者は、他の共有者に対し、持分割合(または共有者間の合意割合)に応じて金銭を分配する義務を負います。

必要経費も持分割合で按分する

賃料収入に対応する必要経費(固定資産税、修繕費、管理費、減価償却費、借入金利息など)も、特段の合意がなければ、持分割合に応じて各共有者が負担します(民法253条1項)。各共有者は、自分が受け取った賃料収入から、自分の持分割合に対応する必要経費を差し引いて不動産所得を計算することになります。

整理すると、次のようになります。

項目取扱い
申告義務各共有者がそれぞれ確定申告する
収入の計上賃料総額 × 自己の持分割合
必要経費の計上経費総額 × 自己の持分割合
根拠民法249条1項、253条1項

持分と異なる割合で分配した場合は課税上の問題が生じる

共有者間の話し合いにより、持分割合と異なる割合で賃料収入を分配することは、民法上は可能です。たとえば、共有者の1人が賃貸の管理を担当する代わりに他の共有者より多く賃料を受け取る、といった取決めも認められます。

ただし、持分割合と整合しない部分(差額)については、贈与として取り扱われ、贈与税の課税対象となる可能性があります。民法上有効な合意であっても、課税上は別個の問題として検討する必要があります。

具体的な場面での適用

設例1:持分割合どおりに分配する場合

Aが持分3分の2、Bが持分3分の1で賃貸マンションを共有し、年間賃料収入が600万円、必要経費が120万円だったとします。

Aの不動産所得 = 600万円 × 2/3 − 120万円 × 2/3
            = 400万円 − 80万円 = 320万円

Bの不動産所得 = 600万円 × 1/3 − 120万円 × 1/3
            = 200万円 − 40万円 = 160万円

AとBは、それぞれ自分の確定申告書で上記の金額を不動産所得として計上します。

設例2:持分と異なる割合で分配した場合

同じ共有関係で、実際にはAが賃料を全額受領し、Bには一切分配していないとします。この場合、本来Bが受領するはずだった利益分のBの持分相当額について、BからAへの贈与があったものと同じ取扱いになります。差額部分についてAに贈与税が課税される可能性があり、民法上の合意があったとしても、税務上のリスクは残ります。

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