共有物分割による不動産の取得には、持分の割合に応じた分割である限り、不動産取得税は課税されません(地方税法73条の7第2号の3)。登録免許税は課税されますが、税率は売買・交換の1000分の20より低い1000分の4です(登録免許税法別表第一)。いずれも、持分割合を超えて取得した部分には売買と同じ課税が生じます。
結論
共有不動産を分割して取得した場合、不動産取得税と登録免許税では扱いが分かれます。
不動産取得税は、共有持分の割合に応じた分割である限り課税されません(地方税法73条の7第2号の3)。共有物分割は、新たに不動産を取得する行為ではなく、共有者がもともと持っていた潜在的な権利を具体化させる手続にすぎないと考えられているためです。
登録免許税のほうは非課税にはなりませんが、税率が低く抑えられています。売買・交換による移転登記が1000分の20であるのに対し、共有物分割による持分移転登記は1000分の4です。
ただし、どちらの扱いも、分割の結果が持分割合と整合する部分に限られます。持分を超えて取得した部分(差額部分)には、売買と同じ課税が生じます。
根拠と条件
不動産取得税は原則として非課税
不動産取得税は、不動産の取得に対して課される都道府県税です(地方税法73条の2第1項)。ここでいう「取得」は広く捉えられており、取得者に現実の利益が生じたかどうかは問われません。最高裁も、不動産取得税は不動産の移転の事実そのものに着目して課される流通税であり、取得者の現実の利得とは関係がないと判断しています(最判昭和48年11月16日)。
この考え方からすれば、共有物分割で他の共有者の持分を取得することも形式的には「不動産の取得」にあたり、かつては実際に課税されていました。しかし、共有物分割の実質は新たな取得ではないという理由から、通達で非課税の扱いに改められ、平成11年の地方税法改正で明文化されました。現在は、共有不動産をその持分に応じて分割した場合、不動産取得税の課税対象にならないと定められています(地方税法73条の7第2号の3)。
登録免許税は課税されるが税率が低い
分割後の権利関係を登記する際には、登録免許税がかかります。税率は登記原因によって異なり、共有物分割を原因とする持分移転登記は、売買・交換の5分の1の税率です(登録免許税法別表第一)。
| 登記原因 | 税率 |
|---|---|
| 共有物分割による持分移転登記 | 課税標準(固定資産税評価額)の1000分の4 |
| 売買・交換による移転登記 | 課税標準(固定資産税評価額)の1000分の20 |
非課税・低税率の条件は持分割合との整合
非課税や低税率の扱いは無条件ではありません。適用されるのは、分割の結果が共有持分の割合と整合する部分だけです。
持分割合を超える部分(差額部分)を取得した場合、その差額部分には不動産取得税が課税され、登録免許税も売買・交換と同じ1000分の20の税率で計算されます。
譲渡所得税(所得税・住民税)にも共有物分割に固有の非課税の扱いがありますが、これは不動産取得税・登録免許税とはまったく別の税です。それぞれの例外規定は独立に判断されるため、譲渡所得税は非課税でも登録免許税はかかる、というように一方だけ課税されることもあります。譲渡所得税の扱いは、「共有不動産を分けると、所得税や住民税がかかることはありますか?」で解説しています。
具体的な場面での適用
AとBが持分2分の1ずつで共有する土地を東西に分筆し、同じ価値の土地をそれぞれの単独所有としたケースでは、分割の結果が持分割合どおりです。不動産取得税はかからず、持分移転登記の登録免許税は1000分の4の税率で済みます。
これに対し、同じ持分2分の1ずつの土地を分けた結果、Aが価値にして全体の7割にあたる土地を取得したケースでは、持分を超える2割分が差額部分です。この部分には不動産取得税が課税され、登録免許税も1000分の20の税率が適用されます。差額に見合う金銭の授受がなければ、贈与税の問題が生じることもある点に注意が必要です。
登記実務では、書面の記載も税額を左右します。登録免許税の課税判断では書面上の形式が重視されるため、実質は共有物分割であっても、分割協議書や和解調書に「交換」と記載すると、通常は共有物分割としての1000分の4の税率が適用されなくなります。

