判例解説– category –
-
【判例解説】認知症で認知機能が低下していても、遺言の内容が単純であることを理由に、遺言公正証書を有効とした事例(東京地裁令和6年5月27日判決)
30秒で要点 結論:認知症の診断があっても、遺言の内容と法的効果を理解できる程度の判断力があれば遺言は有効となり得る。理由:本件では遺言内容が「全財産を二女に相続させる」等の単純な内容で、作成当時の認知機能低下はあっても遺言能力(遺言の内容... -
【判例解説】譲渡制限株式の評価において市場性がないことによる減価を認めた事例(最高裁令和5年5月24日決定)
30秒で要点 結論:譲渡制限株式の売買価格決定(会社法144条2項)では、DCF法で算定した評価額から非流動性ディスカウント(市場性がないことによる減価)を行うことができる。理由:同手続の目的は「当事者間の公正な取引価格の設定」であり、非上場株式... -
【判例解説】共同相続人が相続不動産を長年独占的に使用しても時効取得しないとした事例(大阪高裁平成29年12月21日判決)
30秒で要点 結論:共同相続人の一人が相続不動産を長年独占的に使い、賃料を得て税金を負担していても、それだけでは取得時効は原則成立しません。理由:相続で取得した占有は、他の相続人の持分については「所有の意思(自分のものとする意思)」が権原上... -
【判例解説】遺産分割協議書は通謀虚偽表示や錯誤により無効との主張を否定した事例(東京地裁平成28年10月19日判決)
30秒で要点 結論:百日法要後の親族会で作成・署名押印した遺産分割協議書は有効とされ、原告の無効確認等の請求は棄却。理由:本件の遺産分割協議書は、「遺産分割協議書」と明示し、日本の預貯金と土地持分等を配偶者が相続する内容。実印・印鑑証明持参... -
【判例解説】遺産の全貌を知らされずに署名した遺産分割協議を無効とした事例(東京地裁平成27年4月22日判決)
判例の基本情報 裁判所:東京地方裁判所 判決日:平成27年4月22日 事件番号:平成25年(ワ)8188号 事件名:不当利得返還等請求事件 結論:一部認容・一部棄却。二つの遺産分割協議は、いずれも要素の錯誤により無効。 結論 本判決(東京地裁平成27年4月22... -
【判例解説】寄与分や不動産の評価に食い違いがある遺産分割協議を有効とした事例(東京高裁平成28年5月17日判決)
30秒で要点 結論:遺産分割協議に要素の錯誤はなく、有効。理由:寄与分の評価や不動産価格の見立ては協議で処分できる事項であり、合意の中核的要素(要素の錯誤)とはいえない事情が中心。注意点:評価の不一致だけで錯誤にはならない。疑義があれば、再... -
【判例解説】遺産分割調停の無効→地方裁判所では判断できないとした事例(東京高裁平成29年5月31日判決)
30秒で要点 結論:遺産分割など別表第二にあたる家事調停の「無効」は、地方裁判所(地裁)では判断できません。家庭裁判所での手続が前提です。理由:家事調停は家庭裁判所の専門手続であり、家庭裁判所の専属的管轄(その裁判所だけが扱う権限)に属する... -
【判例解説】無償返還届出書を提出している貸宅地を更地価格の6.5割で評価(東京地裁平成31年3月19日判決)
30秒で要点 結論:無償返還届出書を提出している貸宅地の評価を「更地価格の6.5割(底地権割合65%)」とする鑑定を採用。税務通達や流通性減価は遺留分算定の時価には直結しない。理由:借地権の性質(標準的借地+使用借権の混在)や市場データの制約を... -
【判例解説】無償返還合意のある借地の底地を更地価格の5割・6割で評価(東京地裁平成25年12月25日判決)
30秒で要点 結論:無償返還合意(将来タダで返す約束)のある借地の底地は、更地価格の5割(物件I)・6割(物件F持分)で評価。価額弁償(お金で埋め合わせ)は口頭弁論終結時価で算定。理由:路線価の借地権割合(I=8割、F=7割)に加え、譲渡制限の強い無...